リフォームは何から始める?見積もりを取る前に、考えておくと良いこと
- 坪井 真行

- 7月1日
- 読了時間: 9分
ここ数日、下請け構造の問題や、施工体制の欠陥をどう見抜くのかについて記事を書かせていただきました。
しかし今回は、さらにその前段階のお話です。
リフォームを考え始めたとき、多くの方は最初に工事会社へ見積もりを依頼します。
外壁塗装。
屋根修理。
水回り交換。
床の張り替え。
雨漏り修理。
もちろん、見積もりを取ること自体が悪いわけではありません。
ただ、家の状態や工事の必要性が整理されていないまま見積もりを取ると、その見積もりが本当に必要な工事なのかを判断できないことがあります。
真HMSは、大府市・名古屋市周辺で、木造住宅の既存住宅状況調査・住宅診断・ホームインスペクション・リフォーム前相談を行う、現役大工×二級建築士の木造住宅専門の判断屋です。
「その工事、本当に必要ですか?」という視点で、リフォームの前に家の状態と判断材料を整理しています。

リフォームの前にやるべきことは、住宅判断です
私が考えるリフォームの最初の一歩は、見積もりを取ることではありません。
まず必要なのは、住宅判断です。
住宅判断とは、必要な工事を決めることだけではありません。
必要な工事。
不要な工事。
今ではない工事。
それらを整理し、お客様が納得して選べる状態をつくることです。
リフォーム会社へ相談すれば、リフォームの話になります。
塗装会社へ相談すれば、塗装の話になります。
屋根業者へ相談すれば、屋根工事の話になります。
それぞれの専門業者には、それぞれの役割があります。
ただ、お客様が最初に知りたいのは、本来、
「どこの業者に頼めばいいか」
ではなく、
「どの工事が本当に必要なのか」
ではないでしょうか。
住宅判断の手段が、既存住宅状況調査です
住宅判断をするためには、家の状態を確認する必要があります。
その手段の一つが、既存住宅状況調査です。
既存住宅状況調査は、住宅診断・ホームインスペクションと呼ばれる調査領域の一つです。
ただし、真HMSでは調査をして報告書を出して終わりとは考えていません。
建物の状態を確認したうえで、
今すぐ必要なこと。
今はやらなくてよいこと。
将来的に考えるべきこと。
直すなら、どの順番で進めるのか。
そこまで整理して、お客様が判断できる材料にします。
必要な工事だけでなく、資金計画に合わせることも大切です
住宅判断で大切なのは、悪いところを見つけることだけではありません。
お客様の資金計画や、これから何年住むのかによって、工事の優先順位は変わります。
すべてを一度に直せる方ばかりではありません。
今すぐ直すべき工事。
数年後でもよい工事。
今回は様子を見てもよい箇所。
それらを分けることで、限られた予算の中でも、無理のない修繕計画を考えることができます。
たとえば、同じ外壁の劣化でも、
あと30年住む家なのか。
あと5年住めればよい家なのか。
将来的に売却や相続を考えている家なのか。
によって、選ぶべき工事は変わります。
だからこそ、見積もりを取る前に、建物の状態と暮らしの予定、資金計画を合わせて考える必要があります。
見積もりは、住宅判断のあとでいい
見積もりは、本来とても大切なものです。
しかし、見積もりは工事内容がある程度整理されてから比較するものです。
何を直すべきか分からない状態で複数社から見積もりを取ると、工事内容そのものがバラバラになることがあります。
A社は塗装。
B社は張り替え。
C社は全面改修。
この状態では、金額を比べても本当の比較になりません。
だから私は、見積もりは最初の判断材料ではなく、住宅判断をしたあとの確認材料であるべきだと考えています。
最初に必要なのは、ファーストオピニオンとしての住宅判断です。
現場では、見た目だけでは判断できないことがあります
実際の現場では、お客様が「屋根が悪いと思っていた」と相談されることがあります。
雨漏りや雨染みがあると、多くの方はまず屋根を疑います。
もちろん屋根が原因のこともあります。
しかし過去の類似事例では、実際には外壁の取り合いやサッシ周りが原因だったこともあります。
雨水は、必ずしも真上から真下へ入るわけではありません。
横に伝ったり、回り込んだり、別の場所から侵入して室内に現れたりします。
写真だけでは断定できません。
現地調査をしなければ判断できないことがあります。

全部交換か、部分補修かも現地で判断します
「全部交換しないと直らないと言われた」
このような相談もあります。
実際には、部分補修で十分だったケースもあります。
一方で、逆もあります。
表面だけの補修でよいと思っていたら、下地まで劣化が進んでいて、交換を検討した方がよいケースもあります。
大切なのは、全面工事が正しい、部分補修が正しい、という話ではありません。
その建物の状態に対して、どの工事が本当に必要なのかを判断することです。
外壁がめくれているのに、塗装を提案されることもあります
以前、外壁のめくれや下地の劣化をお客様ご自身が心配され、「これは張り替えないといけないのではないか」と考えていたケースがありました。
ところが、複数の業者から提案されたのは塗装工事でした。
もちろん、塗装をすれば見た目は綺麗になります。
業者側から見ても、既存の外壁を大きく壊さずに済むため、施工上のリスクは比較的少ない工事です。
しかし、外壁がめくれていたり、浮いていたり、下地まで水が回っている可能性がある場合、塗装だけでは根本的な解決にならないことがあります。
なぜなら、表面の外壁材だけでなく、その奥の下地合板や胴縁が湿気を含み、弱っている可能性があるからです。
その状態でどれだけ高い塗料を塗っても、下地が傷んだままでは、数年後にまた浮きや剥がれが出ることがあります。
塗装業者は、外壁の表面を綺麗にする専門家です。
しかし大工は、外壁の裏側にある下地、胴縁、柱、間柱、防水紙、水の流れまで考えます。
見えている表面ではなく、見えない裏側で何が起きているのか。
そこを疑うからこそ、外壁がめくれている家に対して、簡単に「塗装で大丈夫です」とは言えません。
ここで必要なのは、業者を疑うことではありません。
判断材料を持つことです。
調査結果と短期・中長期の修繕計画があれば、お客様自身が、
「この提案は、自分の家には合っていないかもしれない」
と判断できるようになります。
現場経験がもたらす勘は、予感ではありません
私は現役大工として25年以上、木造住宅の現場に携わってきました。
その経験があるからこそ、現場で違和感に気付くことがあります。
ただし、ここでいう勘とは、なんとなくの予感や感覚の話ではありません。
過去に携わってきた多くの木造住宅の中で、
「この傷み方は、以前見たあの家に似ている」
「この雨染みの出方は、屋根ではなく外壁やサッシ周りの可能性がある」
「この劣化の進み方なら、表面だけではなく下地も確認した方がいい」
といった、経験から生まれる類似パターンの認識です。
現場に入ったときの床のわずかな沈み込み。
室内に残る湿気の匂い。
サッシや建具の閉まり方。
外壁の浮き方。
水が回りやすい納まり。
そうした小さな違和感が、床下や壁の中で起きていることを疑うきっかけになります。
しかし、その勘だけで断定はしません。
経験から違和感に気づき、現地調査で確認し、根拠を集める。
そのうえで、お客様が判断できる材料として整理する。
これが、真HMSの住宅判断です。
まず確認してから判断する、という考え方
日本では、住まいに不安が出ると、すぐにリフォーム会社へ見積もりを依頼する流れが一般的です。
一方で、海外の住宅取引や修繕の考え方を調べていると、工事や購入の前に第三者が建物の状態を確認する文化がある地域も見られます。
私は、日本でもこれからは、
「まず見積もり」
ではなく、
「まず住宅判断」
という考え方がもっと広がってよいと考えています。
先に建物の状態を確認する。
そのうえで、必要な工事、不要な工事、今ではない工事を整理する。
この順番が、お客様にとっても、業者にとっても、無理のないリフォームにつながるはずです。
リフォーム前に考えておくと良いこと
リフォームを考え始めたら、まず次のことを整理してみてください。
何に困っているのか。
いつまで住む予定なのか。
今回、どこまで直したいのか。
将来的にどこまで手を入れる予定なのか。
予算の中で、何を優先したいのか。
本当に今すぐ工事が必要なのか。
その工事をしない選択肢はあるのか。
これらを整理しないまま見積もりを取ると、提案された工事を受け入れるか、断るかだけの判断になってしまいます。
でも本来は、
工事する。
保留する。
部分的に直す。
順番を変える。
今は経過を見る。
という選択肢があるはずです。
その選択肢を残すために、住宅判断が必要です。

まとめ|リフォームの前にやるべきことは住宅判断です
リフォームの前にやるべきことは、見積もりを取ることだけではありません。
まず、家の状態を確認すること。
そして、必要な工事、不要な工事、今ではない工事を整理すること。
さらに、お客様の資金計画や今後の暮らしに合わせて、工事の順番を考えること。
その住宅判断の手段の一つが、既存住宅状況調査です。
見積もりは、住宅判断のあとでいい。
どの工事が本当に必要なのかを整理してからでも遅くありません。
その工事、本当に必要ですか?
壊す前に判断する。
それが、真HMSの考え方です。
大府市・名古屋市周辺で、リフォーム前に判断材料を整理したい方へ
真HMSでは、大府市・名古屋市周辺で、木造住宅の既存住宅状況調査・住宅診断・ホームインスペクション・リフォーム前相談を行っています。
工事を急ぐ前に、まず建物の状態と判断材料を整理したい方は、
こちらのページをご覧ください。
では、複数社の見積もりを並べたとき、実際に何が起きるのか。
金額を比べる前に確認してほしい「見積もり比較の罠」は、
こちらの記事で整理しています。
そもそも真HMSが考える「木造住宅専門の判断屋」とは何か。
工事する、保留する、住み続ける、売却するなど、住宅判断の考え方は
こちらの記事でまとめています。
写真や見積書があれば、そのままLINEで送ってください。
何を送ればよいか分からない場合は、
「ブログを見ました」
と一言送っていただくだけで構いません。
こちらから状況を順番にお聞きします。
このまま見積もりだけで進めますか。
それとも、一度立ち止まって、住宅の判断材料を整理しますか。





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