雨漏りの原因は築年数で変わる?築30年前後の木造住宅で注意したいこと【大府市・名古屋市】
- 坪井 真行

- 7月7日
- 読了時間: 7分
真HMSは、大府市・名古屋市周辺で、木造住宅の既存住宅状況調査・住宅診断・ホームインスペクション・リフォーム前相談を行う、現役大工×二級建築士の木造住宅専門の判断屋です。
雨漏りの相談を受ける時、私はまず「どこから漏れていますか?」だけではなく、木造かどうか、築何年くらいかを確認します。
なぜなら、雨漏りの原因は症状だけで決まるものではなく、建てられた時代や設計によって、疑う場所が変わるからです。
雨漏りは、築年数だけで原因が決まるわけではありません
最初にお伝えしたいのは、築30年だから必ずここが悪い、という話ではないということです。
本当に大切なのは、築年数よりも設計です。
屋根の形、軒の出、ベランダの作り方、外壁との取り合い、防水の納まり。
これらによって、雨漏りの原因候補は大きく変わります。
ただし、築年数を聞くことで、その時代によく見られた設計や作り方が見えてきます。
だから雨漏り判断では、築年数が大切な入口になります。
築30年前後の木造住宅は、今の家と同じ感覚で見ない
今では、片流れ屋根や軒の出が少ない住宅も珍しくありません。
しかし、築30年前後の木造住宅では、今ほど片流れや軒の少ない家は一般的ではありませんでした。
私が大工として、大府市や名古屋市周辺の現場に入った頃は、年配の職人さんから、
「入母屋の隅木から逃げる大工になるな」
「棒墨くらいは自分で墨を付けて刻め」
「太鼓梁ではなく、野物を刻め」
そんな話を聞く時代でした。
屋根の形や骨組みには、大工としての考え方や技量が表れる。
そういう感覚が、まだ現場に残っていました。
だから築30年前後の雨漏りを見る時は、今の住宅と同じ感覚ではなく、当時の設計や納まりを前提に考える必要があります。
屋根の形、骨組み、納まり、雨仕舞いは、現場を知っている大工だからこそ見える判断材料です。大工目線の住宅判断については、こちらの記事で詳しく整理しています。
築30年前後で注意したいのは、ベランダ防水と排水です
築30年前後の木造住宅で、私が特に注意して見るのがベランダや陸屋根です。
私の現場感覚では、この頃から後付けのアルミバルコニーではなく、木構造で作ったバルコニーに防水をかける住宅が増えてきた印象があります。
このタイプのベランダは、建物本体とつながっています。
そのため、防水層が傷むと、ベランダの表面だけでなく、防水下地、壁の中、天井裏、室内側へ雨水が回る可能性があります。

外壁より、ベランダの方が雨漏りにつながりやすい場合があります
外壁は基本的に縦面です。
雨水は下へ流れます。
しかし、ベランダや陸屋根は水平に近い場所です。
雨仕舞いの基本は「水を止める」ことではなく、「水を流す」ことです。
ところが、ベランダや陸屋根は、防水層で水を受け止める性質が強くなります。
だからこそ、外壁の色あせよりも先に、ベランダ防水や排水状態を確認した方がよい場合があります。
築30年前後の木造住宅で雨染みがあるなら、屋根だけでなく、ベランダ、手すり壁、ドレン、排水経路まで見る必要があります。
まず見るのはドレンまわりです
ベランダで最初に確認したいのは、ドレン、つまり排水口です。
落ち葉、砂、洗濯物のホコリなどを放置すると、ベランダ上で土のようになり、雨と一緒に排水管へ流れます。
排水管には曲がりがあります。
そこへ泥や落ち葉が溜まると、排水不良を起こします。
水が流れにくくなると、ベランダ床に水が溜まり、防水層、立ち上がり、サッシ下、手すり壁まわりへ余計な負担がかかります。
つまり、防水を見る前に、まず水がきちんと流れる状態かを確認することが大切です。

写真は「判断材料」として見ます
今回の写真では、室内から見たベランダ、ジョイントタイルをめくった状態、表から見えにくい排水経路を確認しています。
室内から見ると、普通のベランダに見えることがあります。
しかし、防水の状態までは室内から分かりません。
ジョイントタイルが敷かれているベランダでは、表面だけを見るときれいに見えることがあります。
しかし、めくってみると砂や土が溜まっていることがあります。
また、築30〜40年の住宅では、ベランダや下屋の雨水を、表から見えにくい軒裏側の樋で受けていることもあります。
写真だけで原因を断定することはできません。
ただし、どこを確認すべきかを整理する判断材料にはなります。

「前からこうだから大丈夫」が、一番怖いこともあります
防水は、漏ってから相談されることが多いです。
外壁塗装と一緒に防水改修をされる方はいます。
しかし、防水だけを予防的に相談される方は多くありません。
実際に今年も、シート防水が浮いている現場を2件確認しました。
私は、
「そろそろ防水を考えた方がいいですよ」
とお伝えしました。
返ってきた答えは、
「前からこうだから大丈夫」
でした。
この感覚は、現場ではよくあります。
ただ、雨漏りは室内に水が出た時に始まるわけではありません。
目に見えた時点では、すでに建物の中で水が回っていた可能性があります。
リスクは説明します。でも、無理に工事はすすめません
防水の浮きや排水不良を確認した時、私はリスクを説明します。
雨漏りが起きると、ベランダ防水だけで済まないことがあります。
防水下地、内装、家具、家電まで被害が広がる可能性があります。
ただし、それを説明したうえで、お客様が「今は工事しない」と判断されるなら、その判断も尊重します。
その方にとって、今はまだ必要な工事ではない場合もあるからです。
真HMSが行うのは、不安を煽って工事を押すことではありません。
確認できた状態、今後のリスク、次に確認すべき場所を整理し、お客様が自分で判断できる材料を渡すことです。
雨漏りを考える時は、築年数も一緒に伝えてください
雨漏りの原因は、見えている場所だけでは判断できません。
木造かどうか。
築何年か。
ベランダがあるか。
屋根の形はどうか。
軒の出はあるか。
排水経路はどうなっているか。
こうした情報によって、疑う場所は変わります。
築年数は、原因を決める答えではありません。
しかし、その家が建てられた時代や設計を考えるための、とても大切な入口です。
雨漏りの原因は、見えている場所の真上とは限りません。雨水の流れ方や原因調査の考え方を整理したい方は、雨漏りに関する記事も参考にしてください。
関連記事・相談先
雨漏り修理やリフォームを決める前に、建物の状態と判断材料を整理したい方は
こちらをご覧ください。
写真や資料があれば、LINEで送ってください。
「木造です」「築30年前後です」「ベランダがあります」といった情報だけでも、何を確認すべきか整理しやすくなります。
まとめ
雨漏りの原因は、築年数だけで決まるわけではありません。
しかし、築年数を聞くことで、その時代の設計や納まり、疑うべき場所が見えてきます。
築30年前後の木造住宅では、屋根だけでなく、ベランダ防水、手すり壁、ドレン、排水経路も確認してほしい場所です。
その工事、本当に今、必要ですか?
それとも、まず判断材料を整理する段階ですか?
雨漏りが気になる時は、症状だけでなく、築年数と構造も一緒に確認してください。





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