雨漏りの原因は築年数で変わる?築30年前後の木造住宅で注意したいこと【大府市・名古屋市】

更新日:9月17日
真HMSは、大府市・名古屋市周辺で、木造住宅の既存住宅状況調査・住宅診断・ホームインスペクション・リフォーム前相談を行う、現役大工×二級建築士の木造住宅専門の判断屋です。
雨漏りの相談を受ける時、私はまず「どこから漏れていますか?」だけではなく、
「木造ですか?」
「築何年くらいですか?」
と確認します。
なぜなら、雨漏りの原因は症状だけで決まるものではなく、建てられた時代や設計によって、疑う場所が変わるからです。
築30年前後の木造住宅なら、その頃によく使われていた納まりや建物の形があります。
ただし、
「築30年だから、ここが原因」
と決めるわけではありません。
築年数は原因を決める答えではなく、その家をどう見るかを考える入口です。
雨漏りは、築年数だけで原因が決まるわけではありません
最初にお伝えしたいのは、
築30年だから必ずここが悪い、という話ではないということです。
本当に大切なのは、築年数よりも設計です。
屋根の形。
軒の出。
ベランダの作り方。
外壁との取り合い。
防水の納まり。
排水の方法。
これらによって、雨漏りの原因候補は大きく変わります。
ただし、築年数を聞くことで、
「この家が建てられた頃なら、どんな作り方をしていたのか」
を考えることができます。
だから雨漏り判断では、築年数が大切な入口になります。
築30年前後の木造住宅は、今の家と同じ感覚で見ない
今では、片流れ屋根や軒の出が少ない住宅も珍しくありません。
しかし、築30年前後の木造住宅では、今ほど片流れや軒の少ない家は一般的ではありませんでした。
私が大工として、大府市や名古屋市周辺の現場に入った頃は、年配の職人さんから、
「入母屋の隅木から逃げる大工になるな」
「棒墨くらいは自分で墨を付けて刻め」
「太鼓梁ではなく、野物を刻め」
そんな話を聞く時代でした。
屋根の形や骨組みには、大工としての考え方や技量が表れる。
そういう感覚が、まだ現場に残っていました。
だから築30年前後の雨漏りを見る時は、今の住宅と同じ感覚ではなく、当時の設計や納まりを前提に考える必要があります。
屋根の形、骨組み、納まり、雨仕舞い。
こうした部分は、図面や築年数だけを見るのではなく、実際の建物と合わせて考えます。
屋根の形、骨組み、納まり、雨仕舞いは、現場を知っている大工だからこそ見える判断材料です。大工目線の住宅判断については、こちらの記事で詳しく整理しています。
築30年前後で注意したいのは、ベランダ防水と排水です
築30年前後の木造住宅で、私が特に注意して見る場所の一つが、ベランダや陸屋根です。
私の現場感覚では、この頃から後付けのアルミバルコニーではなく、木構造で作ったバルコニーに防水をかける住宅が増えてきた印象があります。
このタイプのベランダは、建物本体とつながっています。
そのため、防水層が傷むと、ベランダの表面だけでなく、防水下地、壁の中、天井裏、室内側へ雨水が回る可能性があります。

一見すると問題がなさそうなベランダでも、防水層や排水状態までは分かりません。
築30年前後の木造住宅では、築年数と設計を踏まえて判断することが大切です。
外壁より、ベランダの方が雨漏りにつながりやすい場合があります
外壁は基本的に縦面です。
雨水は下へ流れます。
しかし、ベランダや陸屋根は水平に近い場所です。
雨仕舞いの基本は「水を止める」ことではなく、「水を流す」ことです。
ところが、ベランダや陸屋根は、防水層で水を受け止める性質が強くなります。
だからこそ、外壁の色あせよりも先に、ベランダ防水や排水状態を確認した方がよい場合があります。
築30年前後の木造住宅で雨染みがあるなら、屋根だけでなく、
ベランダ。
手すり壁。
ドレン。
排水経路。
こうした場所も確認する必要があります。
ベランダでは、防水だけでなくドレンまわりも確認します
ベランダで最初に確認したい場所の一つが、ドレン、つまり排水口です。
落ち葉、砂、洗濯物のホコリなどを放置すると、ベランダ上で土のようになり、雨と一緒に排水管へ流れます。
排水管には曲がりがあります。
そこへ泥や落ち葉が溜まると、排水不良を起こします。
水が流れにくくなると、ベランダ床に水が溜まり、防水層、立ち上がり、サッシ下、手すり壁まわりへ余計な負担がかかります。
つまり、防水そのものを見るだけではありません。
水がきちんと流れているか。
ここまで確認することが大切です。

ジョイントタイルの下には、砂や土が溜まることがあります。
表面がきれいでも、その下まで同じとは限りません。
ドレンや排水管へ流れ込めば、排水不良につながる可能性があります。
表から見えない排水経路もあります
今回の写真では、
室内から見たベランダ。
ジョイントタイルをめくった状態。
そして、表から見えにくい排水経路。
それぞれを確認しています。
室内から見ると、普通のベランダに見えることがあります。
しかし、防水の状態までは室内から分かりません。
ジョイントタイルが敷かれていれば、表面はきれいに見えても、その下に砂や土が溜まっていることがあります。
また、築30〜40年の住宅では、ベランダや下屋の雨水を、表から見えにくい軒裏側の樋で受けていることもあります。

ベランダを見るなら、その先の水がどこへ流れているのかまで見る。
写真だけで雨漏りの原因を断定することはできません。
ただし、築年数や建物の形と合わせれば、どこを確認すべきかを整理する判断材料にはなります。
「前からこうだから大丈夫」が、一番怖いこともあります
防水は、漏ってから相談されることが多いです。
外壁塗装と一緒に防水改修をされる方はいます。
しかし、防水だけを予防的に相談される方は多くありません。
実際に今年も、シート防水が浮いている現場を2件確認しました。
私は、
「そろそろ防水を考えた方がいいですよ」
とお伝えしました。
返ってきた答えは、
「前からこうだから大丈夫」
でした。
この感覚は、現場ではよくあります。
ただ、雨漏りは室内に水が出た時に始まるわけではありません。
目に見えた時点では、すでに建物の中で水が回っていた可能性があります。
築年数が経っている住宅ほど、
「昔からこうだった」
という状態が、本当に問題のない状態なのか。
一度確認しておくことが大切です。
リスクは説明します。でも、無理に工事はすすめません
防水の浮きや排水不良を確認した時、私はリスクを説明します。
雨漏りが起きると、ベランダ防水だけで済まないことがあります。
防水下地。
内装。
家具。
家電。
被害が広がる可能性があります。
ただし、それを説明したうえで、お客様が「今は工事しない」と判断されるなら、その判断も尊重します。
その方にとって、今はまだ必要な工事ではない場合もあるからです。
真HMSが行うのは、不安を煽って工事を押すことではありません。
確認できた状態、今後のリスク、次に確認すべき場所を整理し、お客様が自分で判断できる材料を渡すことです。
雨漏りを考える時は、築年数も一緒に伝えてください
雨漏りの原因は、見えている場所だけでは判断できません。
木造かどうか。
築何年か。
ベランダがあるか。
屋根の形はどうか。
軒の出はあるか。
排水経路はどうなっているか。
こうした情報によって、疑う場所は変わります。
築年数は、雨漏りの原因を決める答えではありません。
しかし、
その家が建てられた時代や設計を考えるための、とても大切な入口です。
同じ雨染みでも、築年数や建物の形が違えば、最初に確認する場所も変わります。
雨漏りの原因は、見えている場所の真上とは限りません。
雨水の流れ方や、原因をどのように考えるのかについてはこちらの記事で詳しく整理しています。
雨漏り修理そのものを決める前の原因確認や工事の順番については、こちらの記事で整理しています。
まとめ|築30年前後の雨漏りは、築年数から「当時の家」を考える
雨漏りの原因は、築年数だけで決まるわけではありません。
しかし、築年数を聞くことで、その時代の設計や納まり、疑うべき場所を考えることができます。
築30年前後の木造住宅では、屋根だけでなく、
ベランダ防水。
手すり壁。
ドレン。
排水経路。
こうした場所も確認してほしいポイントです。
そして大切なのは、
「築30年だから、ここが悪い」
と決めつけることではありません。
築年数を入口に、その家がどのようにつくられ、水がどのように流れるのかを見る。
雨漏りは、その家が建てられた時代と設計まで含めて考える。
これが、築30年前後の木造住宅を見る時に私が大切にしていることです。
その工事、本当に今、必要ですか?
それとも、まず判断材料を整理する段階ですか?
雨漏りが気になる時は、症状だけでなく、築年数と構造も一緒に確認してください。
雨漏り修理やリフォームを決める前に、建物の状態と判断材料を整理したい方は、既存住宅状況調査・住宅診断のサービスページをご覧ください。
写真や資料があれば、LINEで送ってください。
「木造です」
「築30年前後です」
「ベランダがあります」
といった情報だけでも、何を確認すべきか整理しやすくなります。










コメント