木造築30年の雨漏りは、どこを見ればいい?
- 坪井 真行

- 7月24日
- 読了時間: 6分
「築30年の木造住宅で雨漏りが始まりました」
このような相談を受けたとき、私は築年数だけを見て、
「古くなったから仕方ありませんね」
とは判断しません。
築30年前後の住宅には、その年代に使われていた屋根材や外壁材、板金、防水方法があります。
さらに、その後の30年間で外壁塗装、防水工事、コーキング補修などが行われている可能性もあります。
そのため、雨漏りの原因を絞るには、現在見えている劣化だけでなく、その家が建てられた年代と、これまでに行われた工事を重ねて考える必要があります。

まず確認するのは、排水口や樋の詰まりです
雨漏りと聞くと、屋根や外壁が壊れたと思うかもしれません。
しかし、現場で最初に確認したいのは、ベランダの排水口、雨樋、谷樋などが正常に排水できているかです。
落ち葉や泥がたまると、水が正常に流れなくなります。
行き場を失った水の水位が上がり、本来なら水が入らない場所を越えて、建物の内側へ回り込むことがあります。
つまり、
家が悪いのではなく、掃除されていなかっただけ
ということもあります。
複雑な工事を考える前に、まず雨水が正常に排出されているかを見る。
築年数にかかわらず必要な確認ですが、長年掃除されていない住宅では、特に最初に確認したい場所です。

次に、これまでの防水工事を確認します
排水に問題がなければ、次にお客様へメンテナンス履歴を確認します。
特に聞きたいのは、
ベランダや屋上の防水をやり直したことがあるか
外壁のコーキングを打ち換えたことがあるか
屋根や外壁をどのように改修したか
という点です。
実際には、
「以前、外壁塗装はしました」
ということまでは分かっても、どこまで補修したのか分からないことが珍しくありません。
防水はやり直したのか。
コーキングは古いものを撤去して打ち換えたのか。
それとも、古いコーキングの上から増し打ちしただけなのか。
屋根や板金は一部だけ直したのか。
見積書、施工写真、保証書などが残っていない場合は、現在の建物を見ながら、過去にどのような工事が行われたのかも推測していきます。
この確認をせず、現在見えているひび割れやコーキングだけを塞いでも、原因が別の場所にあれば雨漏りは止まりません。
築30年前後は、防水紙の施工状態にも差があります
外壁の表面から雨水が入っても、すぐに室内へ漏れるとは限りません。
外壁の内側には、侵入した雨水を建物の外へ排出するための防水紙があります。
ただし、築30年前後の住宅では、防水紙が貼ってあるかどうかだけでなく、どのように貼られているかにもかなり差があります。
私はリフォーム工事で外壁をめくった際、
「これで本当に雨を外へ逃がせるのか」
と驚くような防水紙の施工を見たことがあります。
実際に見た現場では、胴のし板金より先に防水紙が貼られ、その上から板金が取り付けられていました。
防水紙と板金は、ただ両方付いていればよいわけではありません。
雨水がどこへ入り、どこを通り、最後にどこへ排出されるのかを考えて重ねる必要があります。
ところが、その現場では施工する順番が適切ではなく、胴のし板金の裏側へ回った雨水を、外へ逃がしにくい状態になっていました。
そして実際に、胴のし板金の裏側から雨漏りしていました。
外から見れば、板金は付いています。
防水紙も施工されています。
それでも、施工する順番や重ね方が違えば、防水の仕組みは成立しません。
残念ながら、この現場の写真は残っていません。
しかし、築30年前後の雨漏りでは、表面の塗装やコーキングだけでなく、その奥にある防水紙と板金の納まりまで考えて原因を絞る必要があります。
和風住宅なら、銅製の谷板金も確認します
築30年前後の和風住宅で、屋根に谷がある場合は、谷板金の材質も確認します。
当時の和風住宅では、谷部分に銅板が使われていることがあります。
和型瓦では、雨が降るたびに瓦から同じ位置へ水滴が落ちます。
その水滴が長年にわたって、銅製の谷板金の同じ場所へ落ち続けると、局所的に銅板が傷み、穴が開くことがあります。
谷板金全体が大きく腐食しているように見えなくても、水滴が集中する場所だけ穴が開いている場合があります。
そのため、
和風住宅・瓦屋根・銅製谷板金
という条件がそろえば、私は雨漏り原因の候補として優先的に確認します。
これは、築30年だから必ず穴が開いているという意味ではありません。
建物の様式、屋根の形、使われている材料を組み合わせることで、確認する場所を絞れるということです。

築30年だから雨漏りするのではありません
築30年という情報だけで、雨漏りの原因を決めることはできません。
ただし、築年数が分かれば、建築当時に使われていた材料や防水方法を想像できます。
そこへ、
排水口や樋が詰まっていないか
防水をやり直したことがあるか
コーキングを打ち換えたか
屋根や外壁を改修したか
防水紙と板金の納まりが成立しているか
建物の様式と使われている板金は何か
という情報を重ねることで、雨漏り原因の候補を絞っていきます。
大切なのは、雨染みの近くへ、とりあえずコーキングを打つことではありません。
水がどこから入り、建物の中をどう通り、なぜその場所へ出てきたのかを判断することです。
原因を十分に絞らないまま工事を始めると、塗装やコーキングをしても雨漏りが止まらず、別の工事を繰り返すことがあります。
雨漏り修理を決める前に、まず現在の状態と過去の工事を整理し、原因の候補を絞る必要があります。
雨漏り修理の前に、必要な工事を判断したい方へ
雨漏りの原因を絞った後は、見つけた劣化をすぐ工事へ結びつけるのではなく、どこまで直す必要があるのかを判断しなければなりません。
雨漏り修理で失敗しないための全体像と、工事を決める前に確認したい判断基準は、
こちらの記事で詳しくまとめています。
「うちの家は大丈夫かな?」と思った方や、
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