リフォームの前にやるべきことは既存住宅状況調査です|契約してからでは手遅れな理由
- 坪井 真行

- 6月23日
- 読了時間: 17分
👉 その工事、本当に必要ですか?
👉 リフォームを契約する前に、まず家の状態を確認してください。
真HMSでは、これまで何度も、
リフォームの前にやるべきことは、既存住宅状況調査です。
とお伝えしてきました。
なぜ、リフォーム会社へ見積もりを依頼するだけではなく、工事を契約する前に既存住宅状況調査を行う必要があるのでしょうか。
理由は明確です。
契約してからでは、工事そのものを自由に判断できなくなるからです。
リフォーム工事を契約する前であれば、
・ 本当に工事が必要なのか
・今すぐ直す必要があるのか
・どこまで直せばよいのか
・全面工事が必要なのか
・部分修繕で対応できるのか
・今回は工事を保留できるのか
という選択肢を比較できます。
しかし、契約後は、その選択肢が少しずつ失われていきます。
材料が発注されます。
職人の予定が組まれます。
工事範囲や工程が確定していきます。
その段階で第三者から別の判断材料を伝えられても、契約前と同じ状態へ簡単に戻れるとは限りません。
だからこそ、家の状態を確認し、工事の必要性や範囲を整理するのは、契約前でなくてはなりません。
真HMSは、大府市・名古屋市周辺で、木造住宅の既存住宅状況調査・住宅診断・ホームインスペクション・リフォーム前相談を行う、現役大工×二級建築士の木造住宅専門の判断屋です。
工事を売るために不具合を探すのではありません。
「その工事、本当に必要ですか?」という視点で、契約前に家の状態と判断材料を整理しています。
既存住宅状況調査は、中古住宅を買う人だけのものではありません
既存住宅状況調査という言葉を聞くと、
「中古住宅を購入する前に行う調査」
「不動産売買のためのホームインスペクション」
という印象を持つ方が多いと思います。
もちろん、中古住宅の購入前に建物の状態を確認することは、既存住宅状況調査の重要な役割です。
しかし、既存住宅状況調査が役立つのは、住宅を購入するときだけではありません。
今住んでいる家のリフォームを検討するときにも、同じように役立ちます。
なぜなら、リフォームを考える前には、まず現在の家の状態を知らなければならないからです。
外壁を直すのか。
屋根を直すのか。
床を直すのか。
水回りを入れ替えるのか。
家全体を大きく改修するのか。
それとも、必要な場所だけを修繕するのか。
工事内容を先に決めるのではなく、まず建物の状態を確認する。
そのうえで、
・今すぐ対応すること
・今はやらなくてよいこと
・数年以内に考えること
・ 長期的な維持管理として準備すること
を整理します。
これが、リフォームの前に既存住宅状況調査を行う意味です。
中古住宅を購入する前の調査と、今住んでいる家をリフォームする前の調査では、最終的な目的は異なります。
しかし、
先に建物の状態を確認し、その後に購入や工事を判断する。
この順番は同じです。
ここからは、実際に行った中古住宅の購入前調査を例に、症状の名前や見た目だけで工事を決めてはいけない理由をお伝えします。

建物は、見た目や一つの症状だけでは判断できません
以前、三重県四日市市で、中古住宅の購入を検討しているお客様から既存住宅状況調査をご依頼いただきました。
建物は、築約30年の木造2階建て住宅でした。
現地では、外部、基礎、室内、床下、小屋裏など、目視できる範囲を確認しました。
調査では、
・基礎のひび割れ
・床の傾き
・土台露出部の軽微なひび
・ 小屋裏にある木材のひび
などが確認されました。
「基礎にひびがある」
「床が傾いている」
「木材にひびがある」
この言葉だけを見れば、不安になる方もいると思います。
インターネットで検索すれば、
「基礎のひびは危険」
「床が傾いている家は買わない方がよい」
「木材の割れは構造上の問題」
といった情報も出てきます。
しかし、実際の建物は、一つの症状や一枚の写真だけで判断できません。
基礎のひびであれば、
・ひびの幅
・位置
・長さ
・周辺の状態
・同じようなひびがほかにもあるか
・ 建物全体の傾きと関連しているか
まで確認する必要があります。
床の傾きであれば、
・一部だけなのか
・建物全体に同じ傾向があるのか
・施工時の誤差と考えられるのか
・下地や床材によるものなのか
・ 不同沈下の可能性があるのか
を整理しなければなりません。
写真だけでは分からないことがあります。
現地で測り、周辺の状態と合わせて初めて見えてくることがあります。
小屋裏では、木材のひびだけを見ているわけではありません
木造住宅の小屋裏では、梁や母屋、柱、接合部、屋根下地などを確認します。
今回の住宅でも、小屋裏の構造材に木材のひびが確認されました。
木材は、乾燥や経年によってひびが入ることがあります。
だからといって、
「木材にひびがあるから危険」
「すぐに構造補強が必要」
と決めることはできません。
見る必要があるのは、ひびそのものだけではありません。
・梁に著しいたわみがないか
・柱や梁の接合部に異常がないか
・木材が腐朽していないか
・雨漏りの跡がないか
・周辺の部材にも変形がないか
・ 建物全体の状態と関連しているか
まで確認します。

今回確認した範囲では、小屋裏に著しい雨漏り跡や、梁の大きなたわみなどは確認されませんでした。
木材のひびはありましたが、それだけを理由に大規模な構造補強が必要だと判断する状態ではありませんでした。
ここで大切なのは、
不具合があるか、ないかだけで判断しないことです。
既存住宅では、経年による変化や軽微な不具合が見つかることがあります。
重要なのは、
・その不具合がどの程度なのか
・今すぐ対応する必要があるのか
・経過観察できるのか
・将来の維持管理で対応すればよいのか
・ 建物全体へ影響しているのか
を整理することです。
診断で不具合を見つけるだけでは、お客様はまだ判断できません。
その不具合をどう受け止め、次にどう動くのか。
そこまで整理して、初めて住宅の判断材料になります。
床の傾きは、感覚ではなく実際に測って確認します
床を歩いたときに、
「少し傾いている気がする」
「ビー玉が転がる」
「建具の動きが悪い」
という違和感があっても、原因は一つとは限りません。
建物全体が傾いていることもあります。
床材や床下地の施工状態による場合もあります。
建具枠だけが傾いていることもあります。
部屋ごとに床の高さが違う場合もあります。
そのため、感覚だけで判断せず、レーザー測定器を使って室内各所の高さを測ります。
今回の住宅では、主要な室内の床を測定しました。
最大値は2階廊下付近の約3/1000でしたが、主要な通りでは約1.25/1000程度でした。
確認した範囲では、建物全体が大きく不同沈下している可能性は低いと判断しました。
もし、リフォーム前に床の傾きが気になっている住宅であれば、この測定結果は、建物全体の問題から考えるべき状態なのか、床や建具など局所的な範囲をさらに確認すべきなのかを分ける判断材料になります。
床が傾いているように感じるという理由だけで、工事範囲を決めることはできません。
ただし、既存住宅状況調査は、原則として目視や非破壊によって行う調査です。
壁や床をすべて壊して内部を確認するものではありません。
見えない部分の状態まで、完全に保証するものでもありません。
だからこそ、
「今回、何を確認できたのか」
「何は確認できなかったのか」
を分けて説明する必要があります。

住宅診断は「買ってよい」と決めてもらうためのものではありません
今回の調査では、床下、小屋裏、構造材、外部、内部を確認しました。
確認した範囲では、建物全体に大きな構造上の問題は確認されませんでした。
床の傾きも、建物全体が大きく不同沈下していると考える状態ではありませんでした。
調査後、お客様から、
「安心して購入できます」
という言葉をいただきました。
しかし、私が購入を決めたわけではありません。
「この家を買ってください」
「絶対に問題ありません」
と伝えたわけでもありません。
確認できた事実。
現時点で考えられる状態。
今後注意すべきこと。
購入後に考えられる維持管理。
それらを説明したことで、お客様自身が購入を判断できたのです。
住宅診断やホームインスペクションは、専門家に決断を代わってもらうためのものではありません。
あなたが、自分で判断するためのものです。
既存住宅状況調査は、リフォーム工事の必要性を判断する材料にもなります
中古住宅の購入前と、今住んでいる家のリフォーム前。
一見すると別の話に見えるかもしれません。
しかし、判断の順番は同じです。
まず建物の状態を確認する。
次に、不具合の程度や緊急性を整理する。
そのうえで、どの選択肢を選ぶかを考える。
たとえば、外壁にひびがあるからといって、必ず全面的な外壁工事が必要とは限りません。
雨漏りしているからといって、必ず屋根と外壁をすべて直さなければならないとも限りません。
床が傾いているからといって、必ず建物全体の基礎補強が必要とは限りません。
反対に、表面だけをきれいにしても、内部にある原因が残ることもあります。
大切なのは、
工事方法を先に決めるのではなく、まず建物の状態を確認することです。
既存住宅状況調査によって、
・どこに劣化があるのか
・どの程度の状態なのか
・今すぐ対応する必要があるのか
・経過観察できるのか
・追加調査が必要なのか
・ リフォームの優先順位をどうするのか
を整理します。
そのうえで、必要な工事を考えます。
これが、
リフォームの前にやるべきことは、既存住宅状況調査です。
と真HMSが考える理由です。
契約前なら、工事をしない判断もできます
リフォーム会社へ相談すると、リフォーム工事を前提とした提案が出てきます。
塗装会社なら塗装工事。
屋根会社なら屋根工事。
設備会社なら設備交換。
それぞれの専門分野から提案すること自体が、間違っているわけではありません。
しかし、提案された工事が、今の家に本当に必要かどうかは別の問題です。
契約前であれば、
・今回は工事をしない
・数年後まで経過を見る
・必要な場所だけ修繕する
・追加調査を先に行う
・資金計画を立ててから工事する
・ 別の方法を検討する
という判断ができます。
住宅の状態によっては、
「今すぐ大規模な工事をする必要はありません」
とお伝えすることもあります。
工事をしないことも、立派な住宅判断です。
何もしないのではありません。
状態を理解したうえで、
「今回は工事をしない」
「しばらく経過を見る」
「数年後に備える」
と決めるのです。
契約すると、工事の前提が動き始めます
リフォーム工事の契約は、単に見積金額へ同意することではありません。
工事範囲。
使用する材料。
職人の手配。
工程。
工事中の暮らしへの影響。
それらを含めた計画に同意することです。
契約後は、施工業者が準備を始めます。
材料を発注します。
職人の予定を確保します。
足場や設備業者を手配します。
工事日程を調整します。
その段階で、
「やはり、この工事は必要ないのではないか」
「部分修繕に変えられないか」
「別の方法を検討したい」
と思っても、契約前と同じように自由には選べません。
変更費用やキャンセル費用が発生する場合もあります。
工事が始まり、壁や床を壊せば、施工前の状態を再確認できなくなることもあります。
今しかできない判断は、契約すると失われます。
これが、契約してからでは手遅れになる理由です。
契約後のご相談を原則としてお断りする理由
真HMSでは、すでに契約した工事について、
「この工事は本当に必要ですか」
「この見積もりは適正ですか」
「ほかの直し方はありませんでしたか」
「契約した業者の提案は正しいですか」
というご相談は、原則としてお断りしています。
契約した施工業者を守るためではありません。
一度決断したあなたを、困らせることにつながるからです。
契約後に第三者から、
「その工事は必要なかったかもしれません」
「別の方法があったかもしれません」
「もっと安くできたかもしれません」
と言われたら、どうすればよいでしょうか。
契約を解除するのか。
工事内容を変更するのか。
そのまま施工業者を信じて進めるのか。
材料が発注され、職人や工事日程が決まっている中で、別の意見を伝えても、選択肢が増えるとは限りません。
むしろ、施工業者との間で板挟みになり、不安だけを増やしてしまう可能性があります。
真HMSの役割は、決断した後に不安を増やすことではありません。
まだ選択肢が残っている契約前に、判断材料を整理することです。
契約後に必要なのは、原則として第三者による別の答えではありません。
自分で決めた施工業者と、決めた工事を完成させるための確認と信頼関係です。
契約後でも、新しい問題が見つかった場合は意味が違います
すべての契約後相談を、内容も聞かずに断るわけではありません。
たとえば、
・工事中に新たな腐食が見つかった
・壁を壊したら雨漏り跡が見つかった
・契約時には分からなかった下地の状態が判明した
・突然、大きな追加工事が必要だと言われた
・契約内容と異なる施工が疑われる
・ 建物や生活の安全に関わる状態がある
という場合は、契約後の答え合わせとは異なります。
新しく判明した事実に対して、次の判断が必要な状態だからです。
相談内容を確認したうえで、
・真HMSが対応できる内容か
・まず施工業者へ確認すべき内容か
・ 別の専門家が必要か
を個別に整理します。
ただし、すでに決めた工事や施工業者の粗探しをするための相談ではありません。
一度、立ち止まって考えてみてください
今、リフォーム工事を勧められていませんか。
見積書を受け取り、
「金額が高いのか安いのか分からない」
「本当に全部直す必要があるのか分からない」
「業者の説明を聞いても判断できない」
と感じていませんか。
ネットで情報を増やしても、あなたの家の答えが見つかるとは限りません。
築年数。
建て方。
過去の修繕履歴。
不具合の位置。
今後の居住年数。
予算。
家族の暮らし方。
一軒ごとに条件が違うからです。
大切なのは、情報を増やし続けることではありません。
契約する前に、今の家の状態と判断材料を整理することです。
写真や見積書があれば、そのままLINEで送ってください。
何を送ればよいか分からない場合は、
「ブログを見ました」
と一言送っていただくだけで構いません。
こちらから現在の状況や、確認したい内容を順番にお聞きします。
見積もりは、金額表ではなく工事計画です
リフォームの判断では、見積金額だけを比較しても答えは出ません。
150万円の見積もり。
180万円の見積もり。
200万円の見積もり。
金額が違っても、
・工事範囲
・使用材料
・下地補修
・養生
・現場管理
・追加費用の条件
・ 工事中に使えなくなる設備
・ 完成後に目指す状態
が違えば、単純には比較できません。
見積もりは、単なる価格表ではありません。
その家を、どのような順番と方法で直すのかを示す工事計画です。
見積金額だけでは判断できない理由と、契約前に確認すべき工事範囲については、
こちらの記事で詳しく整理しています。
既存住宅状況調査で終わらせず、その後の判断まで整理します
既存住宅状況調査は、目視や計測によって、既存住宅の劣化事象などを確認する調査です。
住宅診断やホームインスペクションという言葉で探されることもあります。
調査によって、
・基礎
・外壁
・屋根
・室内
・床
・柱
・小屋裏
・ 床下
など、目視できる範囲を確認します。
しかし、報告書に不具合が書かれているだけでは、
「それで、何をすればよいのか」
「今すぐ直すのか」
「どこまで工事するのか」
「このまま住めるのか」
という疑問が残ります。
真HMSでは、診断結果を出して終わりにはしません。
家の状態を確認したうえで、
・今すぐ必要なこと
・今はやらなくてよいこと
・将来的に考えること
・修繕する場合の優先順位
・工事中の暮らしへの影響
・ 短期・中長期の維持管理
まで判断材料として整理します。
ただし、真HMSが答えを押しつけるわけではありません。
確認できた事実と選択肢を基に、お客様自身が納得して決められる状態をつくります。
住宅診断で終わらず、その後の判断まで整理する「木造住宅専門の判断屋」については、
こちらの記事で詳しくお伝えしています。
住宅の判断を、業者へ預けたままにしないでください
住宅工事には、専門的な知識が必要です。
すべてを自分だけで理解することは難しいと思います。
だから、施工を専門業者へ任せることは必要です。
しかし、
「専門家が言うのだから必要なのだろう」
「自分には分からないから、そのまま契約しよう」
と、判断まで預けてしまうことはおすすめできません。
施工業者へ工事を任せることと、住宅の判断まで任せることは別です。
なぜ、この工事をするのか。
なぜ、この範囲を直すのか。
ほかの方法はないのか。
今すぐ必要なのか。
その説明を理解したうえで、自分で決める必要があります。
真HMSが目指しているのは、工事を決めることではありません。
お客様に、住宅の判断を取り戻してもらうことです。
真HMSがなぜ工事を急がせず、お客様自身の判断を大切にしているのかは、
こちらの記事で詳しくお伝えしています。
まとめ|リフォームの前にやるべきことは既存住宅状況調査です
リフォームの前に、いきなり工事内容や業者を決める必要はありません。
最初に行うべきことは、現在の家の状態を確認することです。
既存住宅状況調査によって、
・どこに不具合があるのか
・その不具合はどの程度なのか
・今すぐ対応する必要があるのか
・今はやらなくてよいことは何か
・将来どのような維持管理が必要なのか
・ どの工事から優先すべきなのか
を整理します。
契約前であれば、
・工事をする
・工事範囲を減らす
・部分修繕にする
・追加調査を行う
・しばらく経過を見る
・ 今回は工事をしない
という選択肢を比較できます。
しかし、契約後は、材料、職人、工程、工事範囲が動き始めます。
その段階で別の判断材料が増えても、契約前と同じようには選べません。
住宅診断は、契約後の答え合わせではありません。
契約前に、あなたが自分で判断するために行うものです。
だから真HMSは、
リフォームの前にやるべきことは、既存住宅状況調査です。
とお伝えしています。
工事を決める前に、今しかできない判断があります
もしあなたが今、リフォーム工事を検討しているなら。
もしあなたが今、見積もりを取っているなら。
もし、業者から契約を勧められているなら。
そのまま進める前に、家の状態と判断材料を整理してください。
写真や見積書があれば、そのままLINEで送ってください。
何を送ればよいか分からない場合は、
「ブログを見ました」
と一言送っていただくだけで構いません。
こちらから現在の状況や、必要な資料について順番にお聞きします。
その判断、契約してからでは手遅れです。
その工事、本当に必要ですか?
リフォームの前にやるべきことは、壊す前、契約する前に判断材料を整理することです。
真HMSは、大府市・名古屋市周辺で、既存住宅状況調査・住宅診断・ホームインスペクション・リフォーム前相談を行う、現役大工×二級建築士の木造住宅専門の判断屋です。
家の状態、暮らし、工事の順番、責任範囲、短期・中長期の維持管理まで含めて、住宅の判断材料を整理します。
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