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台風による雨漏りを考えてみた|風を伴う雨が住宅の弱点を表面化させる

  • 執筆者の写真: 坪井 真行
    坪井 真行
  • 6月25日
  • 読了時間: 13分

台風や強い風を伴う雨の時だけ、天井や窓まわりに染みが現れる。


普段の雨では何も起きないため、そのまま様子を見ている方も少なくありません。


しかし、台風時の雨漏りは、単に雨の量が多かったから起きるとは限りません。


強い風によって、普段とは違う方向から雨水が押し込まれ、その住宅がもともと持っていた弱点が表面化することがあります。


真HMSは、大府市・名古屋市周辺で、木造住宅の既存住宅状況調査・住宅診断・ホームインスペクション・リフォーム前相談を行う、現役大工×二級建築士の木造住宅専門の判断屋です。


「その工事、本当に必要ですか?」

という視点から、雨漏りを見つけて終わるのではなく、雨水の入口、通り道、修繕範囲、今後の維持管理まで含めて判断材料を整理しています。


結論|台風が雨漏りを作ったとは限りません


台風時に雨漏りが起きたからといって、台風によって突然住宅が壊れたとは限りません。


普段の雨は、主に上から下へ降ります。


一方、台風のように強い風を伴う雨では、雨水が横から外壁へ吹き付け、軒裏へ巻き込み、屋根と外壁などの取り合いへ押し込まれることがあります。


場合によっては、下から上へ吹き上げるように雨水が入ります。


その結果、普段の雨では問題にならなかった納まりや防水上の弱点が、初めて雨漏りとして表面化します。


台風が雨漏りを作ったのではなく、台風が住宅の弱点を表面化させた可能性がある。


私は、まずこの視点から考えます。


知多半島には、強い風を受けやすい場所があります


知多半島は東西を海に囲まれています。


同じ知多半島の中でも、土地の高さ、周囲の建物、海からの距離、建物の向きなどによって、風の当たり方は大きく異なります。


開けた土地や海からの風を受けやすい場所では、普段から外壁や屋根へ強い風が当たることがあります。


台風時には、その風が雨水を通常とは異なる方向へ運びます。


住宅は、屋根、外壁、窓、軒裏、ベランダ、下屋、換気口など、多くの部材の組み合わせでできています。


部材同士が接続する「取り合い」は、雨水の流れを考えるうえで重要な場所です。


大手ハウスメーカーの住宅、地域工務店が建てた住宅、築浅住宅、築古住宅を問わず、どこの、どのような家にも雨漏りのリスクが全くないとは言えません。


重要なのは、会社の規模だけで判断することではなく、その住宅がどのような形で造られ、雨水をどこへ逃がす計画になっているかを見ることです。


室内で見えている場所は「水の出口」です


雨漏り調査では、まず室内で水が出ている場所を確認します。


天井の染み、壁紙の剥がれ、窓上の変色、水滴が落ちた位置。


これらは重要な手掛かりです。


ただし、室内に現れた場所が、そのまま雨水の入口とは限りません。


雨水は、屋根や外壁から入った後、


・木材や下地の上を横へ伝う

・防水層や板金の裏側を流れる

・柱や梁に沿って移動する

・断熱材へ染み込む

・ 離れた継ぎ目から室内へ現れる


ことがあります。


そのため、私はまず水の出口の直上や近辺を確認しながら、建物の構造と雨水の通り道を想像します。


台風時の雨漏りで室内の天井と壁に現れた雨染み
室内に現れた雨漏り跡。ここは雨水の入口ではなく、建物内部を通ってきた水の出口です。見えている場所だけを塞いでも、入口が別の場所にあれば雨漏りは止まりません。

室内に水が落ちていなくても、雨漏りは起きています


雨漏りというと、天井から水滴が落ちてくる状態を想像する方が多いと思います。


しかし、室内へ水が落ちることだけが雨漏りではありません。


外壁材の裏側には、構造上、一時的に入った雨水を排出するための通気層などが設けられている場合があります。


そのため「外壁の裏へ水が入った」だけで、すべてを同じように雨漏りと断定することはできません。


問題になるのは、防水層より内側や構造材側など、

本来雨水を入れない想定の部分へ水が入り込んでいる状態です。


室内に症状が出る前から、


・柱や梁

・土台

・下地材

・断熱材

・金物

・ 軒裏内部


が濡れている可能性があります。


雨漏りによって木材が湿った状態が続けば、木材腐朽やカビ、金物の腐食、断熱性能の低下につながることがあります。


また、湿った木材や建物内部の水分は、シロアリが活動しやすい環境をつくる要因の一つにもなります。


雨漏りが直接シロアリを発生させると一律に断定することはできません。


しかし、雨漏りを長期間放置することで、腐朽や蟻害のリスクを高める環境につながる可能性は考えておく必要があります。


雨水の侵入により外壁内部の金物と下地に腐食が生じた状態
外壁を撤去して確認した内部。室内へ水滴が落ちていなくても、本来濡れない場所へ雨水が入り、見えない部分で腐食や劣化が進むことがあります。

築年数によって、最初に疑う場所は変わります


雨漏り調査では、建物全体を闇雲に調べるのではありません。


まず、水の出口の直上や近辺を確認し、その住宅の築年数、形状、屋根、外壁、増改築歴などから、雨水の入口を絞っていきます。


築年数が経った住宅で確認する場所


築古住宅では、建築当初からの納まりに加えて、紫外線、風雨、建物の動き、材料の寿命による劣化が重なっている可能性があります。


そのため私は、水の出口付近に次のような場所がないかを確認します。


・ベランダの防水層

・ベランダの手すり壁や笠木

・下屋と外壁の取り合い

・屋根の谷

・屋根板金

・外壁の継ぎ目

・窓や庇の上部

・ シーリングの切れや剥離


特に屋根の谷は、左右の屋根面から雨水が集まる場所です。


通常の雨でも水量が多くなりやすく、台風時には風向きによって雨水の流れ方が変わることがあります。


複数の屋根面から雨水が集まる谷部分。築年数が経った住宅では、板金の状態だけでなく、瓦との取り合いや内部の防水状態も含めて考えます。
複数の屋根面から雨水が集まる谷部分。築年数が経った住宅では、板金の状態だけでなく、瓦との取り合いや内部の防水状態も含めて考えます。

築浅住宅では、劣化より先に納まりを考える


築浅住宅で雨漏りが起きている場合、私はまず単純な経年劣化よりも、建築時の納まりや施工方法に問題がなかったかを考えます。


築浅であれば、防水材や外装材が通常の寿命を迎えているとは考えにくいからです。


そこで、建物の構造を頭の中で組み立てながら、


・屋根と外壁の取り合い

・下屋と外壁の接続部分

・ベランダと外壁の取り合い

・窓や庇の上部

・軒裏

・防水紙の重ね方

・板金の立ち上がり

・雨水の逃げ道

・ シーリングだけに防水を依存していないか


を確認します。


築浅住宅の雨漏りでは、建築時から存在していた小さな弱点が、風を伴う雨で初めて表面化することがあります。


ただし、写真や築年数だけで原因を断定することはできません。


飛来物による破損、後から行った設備工事、外壁への穴あけ、想定外の外力など、別の原因も考えられます。


現地で建物の形状と水の出口を確認し、構造と雨水の流れを整理する必要があります。


東浦町の住宅でも、雨水の入口は直上ではありませんでした


実際に東浦町で確認した住宅でも、室内で雨漏りが現れた場所の真上が、雨水の入口ではありませんでした。


ご主人は、室内で水が出た位置から考え、窓上をコーキングしました。


しかし、雨漏りは止まりませんでした。


現地で外壁の状態と部材の取り合いを確認すると、雨水は別の場所から入り、外壁側を横へ伝って室内へ現れていると考えられました。


この住宅は大手ハウスメーカーが建てた住宅でした。


ただし、この記事で大手ハウスメーカーが良い、悪いという話をしたいわけではありません。


どこの会社が建てた住宅でも、複雑な形状や部材の取り合い、風向きとの関係によって、雨漏りの弱点が生まれる可能性があります。


重要なのは、会社名だけで安心したり、不安になったりすることではありません。


その住宅で、どこから雨水が入り、どこを通り、どの範囲へ影響しているのかを確認することです。


東浦町の事例では、建物全体をすべて張り替える選択肢だけでなく、原因と考えられる面を絞った部分修繕も選択肢として整理しました。


お客様は工事範囲と費用を比較し、今回は部分修繕を選ばれました。


修理で大切なのは、大きな工事をすることではありません。


原因と修繕範囲を整理し、その住宅と暮らしに合った方法を判断することです。


雨漏りの現場一次情報を、どう判断につなげるのか


雨漏り調査では、写真一枚だけで原因を決めることはできません。


現地では、


・どの方角から風雨を受けたのか

・雨の強さと継続時間

・台風時だけか、通常の雨でも漏れるか

・水が出た時刻

・室内のどこから始まったか

・雨がやんでからも続いたか

・過去に補修した場所

・屋根や外壁の構成

・ 増築や設備工事の履歴


などを確認します。


雨漏りした日時や風向き、雨の強さが分かれば、原因を考える重要な判断材料になります。


可能であれば、雨漏りしている最中の写真や動画も残してください。


ただし、台風の最中に屋根へ上ったり、屋外で無理に確認したりしてはいけません。


強風時の屋根、脚立、ベランダでの確認は危険です。


まずは室内で安全を確保し、水が広がらないように養生し、写真や動画で状況を記録してください。


【現場の納まりを知ることが、雨漏り判断につながります】


雨水は、図面どおりに流れるとは限りません。


完成後には見えなくなる防水紙、板金、下地、部材同士の重ね方によって、雨水の通り道は変わります。


なぜ雨漏り判断に現役大工の視点が必要なのか。

完成すると見えなくなる下地や雨仕舞いから、

住宅判断を考えたい方はこちらをご覧ください。



【一度、立ち止まって考えてみてください】


雨漏りを見つけると、すぐにコーキングを打ったり、屋根全体や外壁全体の工事を考えたりしたくなるかもしれません。


しかし、水の出口だけを塞いでも、雨水の入口が別の場所にあれば根本的な解決にはなりません。


また、原因を確認しないまま工事範囲を広げると、本来必要のなかった工事まで行うことがあります。


大切なのは、情報を増やすことではありません。


壊す前に、水の入口、通り道、影響範囲を正しく判断することです。


雨漏りしている場所や外部の写真があれば、LINEで送ってください。


写真だけで原因を断定することはできませんが、次に何を確認するべきかを整理できる場合があります。




台風後に確認してほしい住宅の変化


台風が過ぎた後は、室内に水が落ちたかどうかだけでなく、次のような変化も確認してください。


・天井や壁紙に新しい染みがないか

・窓枠や窓上が湿っていないか

・軒裏に変色や剥がれがないか

・室内に以前と違う湿った臭いがないか

・収納内部が湿っていないか

・床や巾木付近に水分がないか

・ 雨音とは違う水滴音がしなかったか


目に見える変化がなくても、小屋裏や壁内部で水が回っている可能性はあります。


一方で、染みがあるからといって、現在も雨漏りが継続しているとは限りません。


過去の雨漏り跡が残っている場合もあります。


新しい染みなのか、以前からあったものなのか。


雨天時に変化するのか。


触ると湿っているのか。


こうした経過も判断材料になります。


すぐ工事するか、経過を見るか


雨漏りが確認されたからといって、すべて同じ緊急度ではありません。


安全を確保したうえで、まずは次の点を整理します。


早めの確認が必要な場合


・雨が降るたびに水が入る

・天井材が膨らんでいる

・電気設備付近へ水が回っている

・木部の腐朽や著しい変色が見える

・カビ臭や湿気が強い

・雨漏り範囲が広がっている

・ 外壁材や軒裏材が落下しそう


電気設備周辺へ水が入っている場合や、天井材が落下しそうな場合は、無理に触らず安全を優先してください。


経過を記録しながら判断できる場合


・台風など特定の風向きでしか症状が出ない

・染みが古く、現在濡れていない

・室内への水量が少なく、拡大していない

・ 外部から原因を特定できていない


ただし、経過観察とは放置することではありません。


次の雨でどのような変化が起きるかを記録し、必要なタイミングで現地確認へつなげることです。


短期と中長期で考える雨漏り対策


雨漏りでは、応急対応と根本対応を分けて考える必要があります。


短期対応


・室内の水を受ける

・家具や家電を移動する

・床や壁を養生する

・写真と動画を残す

・雨漏りした日時と風向きを記録する

・ 危険な場所へ近づかない


中長期対応


・雨水の入口と通り道を特定する

・内部への影響範囲を確認する

・部分修繕か広範囲修繕かを比較する

・次回メンテナンス時期を整理する

・ 屋根、外壁、ベランダなど他の弱点も確認する


雨漏り修理では、今漏れている場所を止めるだけでなく、次にどこを確認し、いつまで経過を見るのかまで整理する必要があります。


それが短期・中長期の住宅判断です。


雨漏りは、表面だけを見て判断しない


雨漏りで室内に現れている水は、建物内部を通ってきた結果です。


だからこそ、


・水の出口

・雨水の入口

・建物内部の通り道

・濡れた範囲

・原因が劣化なのか、納まりなのか

・部分修繕でよいのか

・ 全体工事が必要なのか


を分けて整理する必要があります。


特に台風時の雨漏りは、普段とは異なる方向から雨水が入り、建築時から存在していた弱点を表面化させることがあります。


築古住宅では、劣化しやすい場所を確認する。


築浅住宅では、劣化より先に構造と納まりを想像する。


これは、現役大工として雨漏り現場を確認する時に、私が大切にしている判断の順番です。


【雨漏りを見つけた後、何を判断すればよいのか】


雨漏りは、原因を見つけて工事をすれば終わりとは限りません。


今すぐ直す場所、経過を確認する場所、将来のメンテナンスで対応する場所を分けることで、工事範囲と費用を整理できます。


家の状態を確認した後、どのように工事・保留・経過観察を判断するのか。


木造住宅専門の判断屋の考え方はこちらで整理しています。


まとめ|台風は住宅の弱点を見せることがあります


台風の雨は、普段の雨とは入り方が違います。


横から吹き付け、軒裏へ巻き込み、屋根や外壁の取り合いへ雨水を押し込むことがあります。


そのため、台風の時だけ雨漏りする場合は、


・劣化

・部材同士の取り合い

・建築時の納まり

・防水層の重なり

・ 建物形状と風向きの関係


を考える必要があります。


室内に見えている場所は水の出口です。


出口だけを塞ぐのではなく、入口と通り道を確認する。


そして、建物内部への影響と必要な修繕範囲を整理する。


それが雨漏り修理の前に行うべき判断です。


もし今、雨漏り修理を検討しているなら


もしあなたが今、雨漏り修理の見積もりを取っているなら。


もし台風の後に、天井や壁へ新しい染みを見つけたなら。


そのまま工事へ進む前に、壊す前の判断材料を整理してください。


状態を確認しないまま進めると、雨水の入口とは違う場所を補修したり、必要以上に大きな工事を行ったりする可能性があります。


一方で、内部の腐食や安全に関わる状態が確認された場合は、早めの対応が必要です。


写真や見積書があれば、そのままLINEで送ってください。


何を送ればよいか分からない場合は、


「ブログを見ました」


と一言送っていただくだけで構いません。


こちらから状況を順番にお聞きします。



その判断、このままで大丈夫ですか?


その工事、本当に必要ですか?


リフォームの前にやるべきことは、壊す前に判断材料を整理することです。


真HMSは、現役大工×二級建築士として、木造住宅専門の判断屋として、家の状態、暮らし、工事の順番、短期・中長期メンテナンスまで含めて判断材料を整理します。


既存住宅状況調査・住宅診断・ホームインスペクションや、

リフォーム前相談について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。



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