台風による雨漏りを考えてみた|風を伴う雨が住宅の弱点を表面化させる

更新日:9月18日
台風や強い風を伴う雨の時だけ、天井や窓まわりに染みが現れる。
でも、普段の雨では何ともない。
そんな雨漏りがあります。
「台風だったから、雨の量が多すぎたんじゃない?」
そう思うかもしれません。
もちろん、雨量も関係します。
でも私がもう一つ確認するのが、
どの方向から、どんな風を伴って雨が当たったのか。
です。
台風のような強風を伴う雨では、普段とは違う方向から雨水が住宅へ当たります。
その結果、普段の雨では何ともなかった住宅の弱点が、初めて雨漏りとして表面化することがあります。
真HMSは、大府市・名古屋市周辺で、木造住宅の既存住宅状況調査・住宅診断・ホームインスペクション・リフォーム前相談を行う、現役大工×二級建築士の木造住宅専門の判断屋です。
今回は、
なぜ台風の時だけ雨漏りすることがあるのか。
現役大工として、雨の入り方から考えてみます。
結論|台風が雨漏りを作ったとは限りません
台風の時に初めて雨漏りしたからといって、台風によって突然住宅が壊れたとは限りません。
普段の雨は、基本的に上から下へ降ります。
ところが強い風を伴うと、雨水は横から外壁へ吹き付けます。
軒裏へ巻き込むこともあります。
屋根と外壁などの取り合いへ押し込まれることもあります。
条件によっては、下から上へ吹き上げるように雨水が当たることもあります。
つまり、
普段の雨と、台風の雨では、住宅への水の当たり方が違います。
そこで初めて、普段の雨では問題にならなかった納まりや防水上の弱点から水が入る。
私は、
台風が雨漏りを作ったのではなく、台風が住宅の弱点を表面化させた可能性がある。
まず、ここから考えます。
台風の雨は「どこから降ったか」だけでは判断できません
雨漏りを考える時、雨の量だけではなく風向きも大切な情報です。
例えば同じ住宅でも、
南から強い風が吹いた時だけ漏れる。
東からの風雨では漏れない。
普段の雨では何ともない。
こうした違いがあれば、それ自体が原因を考えるための材料になります。
住宅は、
屋根
外壁
窓
軒裏
ベランダ
下屋
換気口
など、たくさんの部材を組み合わせて造られています。
特に部材と部材が接続する「取り合い」は、雨水の流れを考えるうえで重要です。
強い風が加われば、普段なら雨水が入りにくい場所にも水が当たります。

だから、
「雨が強かった」だけで終わらせず、「どちらから風雨を受けたのか」まで見る。
これが台風時の雨漏りでは大切です。
知多半島では、風の受け方も一軒ずつ違います
知多半島は東西を海に囲まれています。
ただし、
「知多半島だから、この方向から風が来る」
と単純に決められるわけではありません。
土地の高さ。
周囲の建物。
海からの距離。
住宅の向き。
隣家との位置関係。
同じ地域でも、住宅によって風の受け方は変わります。
開けた場所では、建物へ直接強い風が当たることもあります。
反対に、周囲の建物によって風の流れが変わることもあります。
だから雨漏りを見る時も、
その家に、実際にどう雨と風が当たったのか。
そこから考える必要があります。
室内に見えている雨漏り跡が、雨水の入口とは限りません
台風の後、
天井に染みが出た。
窓の上が濡れた。
壁紙が変色した。
床へ水が落ちた。

これらは、雨漏りを考える大切な手掛かりです。
ただし、
そこが雨水の入口とは限りません。
雨水は建物へ入ったあと、木材や下地を伝って移動することがあります。
板金や防水層の裏側を流れることもあります。
そのため、室内で見えている場所は、
雨水が最後に姿を現した「出口」
かもしれません。
見えている場所だけを塞いでも、別の場所から水が入っていれば雨漏りは止まりません。
雨漏りの「出口・通り道・侵入口」については、こちらの記事で詳しく整理しています。
台風時だけ漏れるなら、その時の情報を残してください
これは、ぜひ覚えておいてほしいことです。
雨漏りしている最中の情報は、後から原因を考える時にかなり役立ちます。
私が確認したいのは、
どの方角から風雨を受けていたか
雨の強さ
どのくらい雨が続いたか
台風の時だけなのか
普段の雨でも漏れるのか
何時ごろ水が出始めたか
室内のどこから始まったか
雨がやんだ後も続いたか
過去に補修した場所はあるか
増築や設備工事をしたことがあるか
といった情報です。
可能なら、雨漏りしている最中の写真や動画も残してください。
水の量や広がり方が分かるだけでも判断材料になります。
ただし、
台風の最中に外へ確認しに行かないでください。
屋根へ上がる。
脚立を使う。
ベランダへ出る。
強風時には危険です。
まず室内の安全を確保する。
家具や家電を移動する。
水が広がらないよう養生する。
そして、安全な場所から写真や動画を残してください。
東浦町の住宅でも、雨水の入口は直上ではありませんでした
実際に東浦町で確認した住宅でも、室内で水が出ていた場所の真上が雨水の入口ではありませんでした。
ご主人は、室内で水が出た位置から考えて窓上をコーキングしました。
しかし、雨漏りは止まりませんでした。
現地で外壁や部材の取り合いを確認すると、雨水は別の場所から入り、外壁側を横へ伝って室内へ現れていると考えられました。

この住宅は大手ハウスメーカーが建てた住宅でした。
でも、
大手だから雨漏りしない。
地域工務店だから雨漏りする。
そんな単純な話ではありません。
住宅の形。
部材同士の取り合い。
雨水の逃がし方。
そして風向き。
それぞれの条件が重なります。
この事例では、建物全体を張り替える方法だけではなく、原因と考えられる範囲を絞った部分修繕も選択肢として整理しました。
お客様は工事範囲と費用を比較し、部分修繕を選ばれました。
修理で大切なのは、大きな工事をすることではありません。
その家で何が起きているのかを確認し、必要な修繕範囲を考えることです。
築年数によっても、考えるポイントは変わります
台風という条件だけで原因を決めることもできません。
築年数も判断材料の一つです。
築年数が経った住宅なら、材料の劣化や過去の補修、建物の動きなども考えます。
築浅住宅なら、単純な経年劣化だけではなく、建築時の納まりや部材同士の取り合いも考えます。
ただし、
築年数だけで雨漏りの原因が決まるわけではありません。
その家が建てられた時代や設計まで含めて考える必要があります。
築30年前後の木造住宅については、こちらで詳しく整理しています。
台風後に確認してほしい住宅の変化
台風が過ぎたら、室内へ水が落ちたかどうかだけではなく、家の中を少し確認してみてください。
天井や壁紙に新しい染みがないか
窓枠や窓上が湿っていないか
軒裏に変色や剥がれがないか
室内に以前と違う湿った臭いがないか
収納内部が湿っていないか
床や巾木付近に水分がないか
雨音とは違う水滴音がしなかったか
ここで大切なのは、
「染みがある=今も雨漏りしている」と決めつけないこと。
以前からあった染みかもしれません。
反対に、室内へ水滴が落ちていなくても、見えない部分へ水が入っている場合もあります。
新しくできたのか。
雨の時に変化するのか。
触ると湿っているのか。
こうした経過も判断材料になります。
すぐ工事するかどうかは、雨漏りを確認してから判断します
台風の後に雨漏りを見つけると、
「早く直さないと」
と思うのは当然です。
もちろん、早めの対応が必要な状態もあります。
電気設備の近くへ水が回っている。
天井材が膨らんでいる。
外壁材や軒裏材が落ちそう。
水が入るたびに範囲が広がっている。
こうした場合は、安全を優先して早めに確認する必要があります。
一方で、
台風など特定の風向きでしか症状が出ない。
古い染みで現在は濡れていない。
原因がまだ特定できていない。
という場合には、状況を記録しながら原因を絞っていくこともあります。
経過を見ることと、放置することは違います。
次の雨で何が起きたのかを確認できる状態にしておく。
それも雨漏りを判断するための一つの方法です。
「今すぐ工事なのか」
「原因調査を先にするのか」
「経過を確認するのか」
雨漏り修理全体の判断については、こちらの記事で整理しています。
まとめ|台風は住宅の弱点を見せることがあります
台風の雨は、普段の雨とは入り方が違います。
横から吹き付ける。
軒裏へ巻き込む。
部材同士の取り合いへ押し込む。
普段なら水が入らない場所へ、強い風によって雨水が届くことがあります。
だから、
台風の時だけ雨漏りしたからといって、「台風で壊れた」とすぐに決めない。
どの方向から風雨を受けたのか。
どこに水が現れたのか。
普段の雨でも漏れるのか。
その家がどんな形で、どんな時代に建てられたのか。
一つずつ整理していきます。
台風は、今まで見えていなかった住宅の弱点を表面化させることがあります。
だからこそ、
雨漏りした場所だけを見るのではなく、「なぜ今回の雨で水が入ったのか」を考える。
私はそこから雨漏りの判断を始めます。
その工事、本当に今、必要ですか?
台風の後に雨漏りを見つけた。
修理の見積もりをもらった。
でも、
どこから水が入ったのか分からない。
どこまで直せばいいのか分からない。
そんな時は、工事を決める前に一度判断材料を整理してください。
雨漏りしている場所や外部の写真、見積書などがあればLINEで送っていただいて構いません。
写真だけで原因を断定することはできませんが、
次に何を確認すればいいのか。
そこから一緒に整理できる場合があります。
▶ 既存住宅状況調査・住宅診断・ホームインスペクションについて










コメント