「断熱等級6なのに暑い」という投稿を見ました
- 坪井 真行

- 7月28日
- 読了時間: 6分
先日、SNSでこんな投稿を見かけました。
断熱等級6の住宅なのに、夏になると家の中が暑い。
サーモカメラで確認すると、壁と天井の取り合い付近が赤く映っているため、熱橋や施工不良を疑っているという内容でした。
私は、その住宅を実際に確認していません。
設計図や断熱計算書、気密測定結果、施工状態も見ていないため、原因が熱橋なのか、断熱欠損なのかを判断することはできません。
ただ、投稿を見て気になったことがあります。
そもそも、断熱材が何をする材料なのか、業者とお客様の双方に正しく伝わっているでしょうか。
断熱材は冷却材でもホッカイロでもありません
高気密・高断熱住宅と聞けば、
「夏は涼しく、冬は暖かい家」
というイメージを持つと思います。
この表現自体が間違っているわけではありません。
ただし、断熱材そのものが家を冷やしたり、暖めたりするわけではありません。
断熱材は、冷却材でもホッカイロでもありません。
役割は、室内と屋外の間で熱が移動する速度を遅くすることです。
冬は、暖房で暖めた熱を外へ逃がしにくくします。
夏は、屋外の熱が室内へ伝わるのを遅らせます。
ところが、窓から強い日射が入り続ければ、室内には熱がたまります。
人や家電、調理からも熱は発生します。
一度室内へ入った熱は、高気密・高断熱住宅ほど自然には逃げにくくなります。
つまり、高い断熱性能があっても、何もしなくてよいわけではありません。

まず確認したいのは、窓・日射・空調です
家が暑いと感じたとき、最初から壁や天井の断熱材を疑う必要はありません。
まず確認したいのは、どこから熱が入っているかです。
特に影響が大きいのが、窓からの日射です。
南面や西面の大きな窓へ強い日差しが当たり続ければ、断熱性能の高い住宅でも室温は上がります。
次に確認したいのが、エアコンの使い方です。
高気密・高断熱住宅では、室温が上がり切ってから短時間だけ強く冷やすより、室温が上がる前から緩やかに運転した方が安定する場合があります。
換気についても、外気温が高い時間に窓を開ければ、熱い外気を室内へ入れることになります。
まずは、
・何時ごろから暑くなるのか
・どの部屋が暑いのか
・窓へ直接日差しが当たっていないか
・日射を窓の外側で遮っているか
・エアコンをどのように運転しているか
を整理するのが先です。
自宅では14畳用エアコンを中心に使っています
私自身、築11年の高気密・高断熱住宅に住んでいます。
建築当時の断熱性能は、現在でいう断熱等級4程度です。
地域区分も、当時の基準で東北地方の比較的温暖な地域に近い条件を採用して設計しました。
リビングには吹き抜けがありますが、普段の空調は14畳用エアコンが中心です。
各居室のエアコンは、就寝時に軽く動かす程度で過ごしています。
家を建てて良かったと思う部分の中でも、一番実感が大きいのは高気密・高断熱です。
見た目や設備には、住んでみるとそれほど重要ではなかったものもあります。
しかし、高気密・高断熱は毎日の快適さに直結しています。
だから私は、高気密・高断熱を否定しているわけではありません。
本当に優れた住宅性能だからこそ、その役割を正しく理解して使ってほしいのです。
計算上の性能だけで断熱は完成しません
自宅には、建築時の断熱計算書と気密測定報告書が残っています。

ただし、計算書へ数字が記載されているだけでは、断熱性能は完成しません。
私は新築工事で、グラスウール180mmを無理なく納められるよう、小屋組や天井高さを設計段階から考えていました。
構造金物についても、羽子板ボルトによって断熱材を大きく欠き込まなくて済むよう、箱彫りで納める方法を使っていました。
断熱材は、現場で余った隙間へ詰め込めばよい材料ではありません。
設計段階から、必要な厚みを確保し、金物や配線、下地と干渉しない納まりを考える必要があります。

サーモカメラだけでは原因は決まりません
サーモカメラは、表面温度の違いを確認するために役立つ道具です。
しかし、赤く映った場所が、そのまま暑さの原因とは限りません。
断熱材が欠けているのか。
柱や梁などの構造材による熱橋なのか。
日射を受けた外壁や屋根の影響なのか。
エアコンの風が届いていないだけなのか。
周囲の条件まで確認しなければ判断できません。
サーモカメラは、原因を確定する機械ではありません。
温度差から、次に確認する場所を絞るための判断材料です。
その工事、本当に必要ですか?
「家が暑い」「サーモカメラで赤く映った」という理由だけで、断熱材の追加や壁・天井の解体補修を決める必要はありません。
まずは窓からの日射、日射遮蔽、エアコンの運転方法、換気の状態を整理してください。
それでも特定の場所だけが極端に暑い場合や、設計上の性能が出ていない疑いがある場合に、断熱計算書や気密測定結果、施工状態を確認します。
原因を確認せずに工事を始めれば、お金を使っても暑さが改善しない可能性があります。
今回の判断は、まず日射遮蔽や空調の使い方を確認し、その結果を見てから断熱工事の必要性を判断する、です。
家の暑さを、断熱工事だけで決める前に
真HMSでは、夏の暑さ対策をはじめ、断熱・日射遮蔽・換気・空調など、住環境についてのご相談も承っています。
現在の状態を整理し、工事が必要なのか、まず別の対策を試すべきなのかを一緒に確認します。








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