外壁の劣化が気になったとき、最初に築年数を確認する人は多いと思います。
- 坪井 真行

- 7月27日
- 読了時間: 7分
更新日:7月28日
「築10年だから、そろそろ塗装した方がいい」
「築30年を超えたから、かなり傷んでいるはず」
外壁工事では、そんな説明を受けることもあります。
築年数は、確かに大切な情報です。
ただし、築年数だけで外壁の状態や工事内容を決めることはできません。
私が築年数を確認するのは、塗装時期を決めるためではありません。
その家がどのような時代に、どのような材料と考え方で造られたのかを推測するためです。
木造住宅は、建てられた年代によって、外壁材だけでなく、屋根の形、防水方法、雨水を外へ逃がす納まりも違います。
そのため、外壁を見る場所も築年数によって変わります。
築20年以内は、外壁表面より雨の当たり方を見る
築20年以内の木造住宅は、それ以前の住宅と比べると、使用される材料や施工方法が比較的そろってきています。
その一方で増えたと感じるのが、軒のない住宅や片流れ屋根です。
軒とは、屋根が外壁より外側へ張り出した部分です。
軒があれば、外壁に直接当たる雨をある程度減らせます。
しかし、軒のない住宅では、外壁や屋根との取り合いが雨風の影響を受けやすくなります。
実際にこの年代の住宅を見るときは、外壁表面の色あせだけではなく、片流れ屋根と外壁の取り合い、パラペット、笠木、ベランダの手すり壁などを確認します。
笠木とは、ベランダの手すり壁やパラペットの上部を覆う部材です。
外壁材がきれいでも、こうした取り合い部分に問題があれば、雨水が壁の内部へ回る可能性があります。
築浅だから問題が起きにくいとは限りません。
この年代では、古さよりも、建物の形と雨の受け方を見る必要があります。

築20年から40年は、住宅ごとの仕様差を見る
築20年から40年ほどの木造住宅になると、同じ築年数でも造り方の違いが大きくなります。
現場ではまず、外壁の一番下にある土台水切りを確認します。
土台水切りとは、外壁を伝った雨水を外側へ落とし、建物の下部へ回り込みにくくする部材です。
現在では一般的ですが、この年代の住宅では、土台水切りがないものや、現在とは違う形で納められているものもあります。
コーキングも住宅によって違います。
現在よく使われている材料とは異なり、古いアクリル系と思われるコーキングが使われ、硬化やひび割れが進んでいる住宅も見てきました。
ただし、ひび割れているから打ち替えれば終わり、とは限りません。
そのコーキングが何のために使われているのか。
外壁材同士の隙間を埋めているだけなのか。
雨水の侵入を防ぐ役割を持っているのか。
すでに外壁内部へ水が回っているのか。
そこまで確認しなければ、必要な補修方法は決まりません。
築30年という数字が同じでも、使われた材料や施工方法は同じではありません。
この年代では、現在の常識を当てはめる前に、その住宅に実際に何が使われ、どのように納められているのかを確認します。

築40年以上は「あるはず」を前提にしない
築40年以上の木造住宅では、現在の住宅では当たり前とされているものが、最初からないことがあります。
現場では、外壁の継ぎ目にコーキングがない住宅や、外壁の内側に防水紙がない住宅を見てきました。
雨水が入ったときに、土壁がそのまま水分を受けている住宅もあります。
現在とは異なる木質系の外壁材が使われていることもあります。
現在の住宅だけを基準に考えると、「そんな造り方があるのか」と感じるかもしれません。
しかし、当時はその方法で建てられた住宅があります。
築古住宅では、図面が残っていないことも珍しくありません。
残っていても、配置図、平面図、立面図だけということがあります。
外壁の内側に何があり、防水紙がどこまで施工され、雨水をどう排出する計画なのか。
そこまで図面に書かれていなければ、図面だけでは判断できません。
また、この年代のベランダは、建物と一体で造られたものではなく、後から取り付けたアルミ製ベランダであることも多くあります。
築浅住宅と同じ感覚で、最初からベランダ防水を疑えばよいわけでもありません。
外から見える材料、軒や屋根の形、増改築の跡、当時の施工方法を手掛かりにして、壁の中がどうなっているのかを考えます。
築40年以上の外壁は、劣化しているかだけでなく、そもそもどのような考え方で雨を防いでいた住宅なのかから確認する必要があります。

築古住宅は図面だけでは分からないことも多く、現場で材料や納まりを読み取る必要があります。
同じひび割れでも、原因は同じではない
外壁にひび割れや色あせがあれば、表面だけを見ると似たような劣化に見えます。
しかし、その下にあるものは住宅の年代によって違います。
築浅住宅なら、防水紙や通気層が施工されていることを前提に確認できる場合があります。
築30年前後なら、住宅ごとの仕様差や過去の改修履歴を確認する必要があります。
築40年以上なら、防水紙があるという前提から疑う必要があります。
同じひび割れに見えても、原因は一つではありません。
表面塗膜の劣化なのか。
コーキングの劣化なのか。
屋根や笠木との取り合いに問題があるのか。
外壁内部へ雨水が入っているのか。
下地や土壁まで傷んでいるのか。
原因によって、必要な工事はまったく違います。
その工事、本当に必要ですか?
外壁は、傷んだら塗装すればいい。
そんなふうに考えられることがあります。
でも私は、外壁塗装だけでは改善しない住宅を数多く見てきました。
原因が外壁表面ではなく、屋根と外壁の取り合い、笠木、パラペット、防水紙、外壁内部の納まりにある場合、表面を塗っても雨漏りは止まりません。
それどころか、外壁塗装を終えたあとも雨漏りが続けば、もう一度足場を組む費用が掛かります。
状態によっては、塗ったばかりの外壁を壊して内部を確認し、再工事になることも考えられます。
築20年だから塗装。
築40年だから張り替え。
そう簡単には決められません。
先に確認すべきなのは工事時期ではなく、その年代の木造住宅で、どこが傷みやすく、現在どこまで劣化しているのかです。
そのうえで初めて、塗装でよいのか、部分補修でよいのか、外壁を開けて内部を確認すべきなのか、別の場所を先に直すべきなのかを判断します。
外壁塗装が必要な住宅もあります。
しかし、原因を確認せずに塗装だけを先に行えば、工事費を掛けても問題が残り、結果として余分な足場代や再工事費が掛かる可能性があります。
築年数は、外壁工事を決める数字ではない
築年数は、外壁塗装の時期を一律に決めるための数字ではありません。
その住宅がどの時代に建てられ、どのような材料や工法が使われている可能性があるのかを考えるための手掛かりです。
築20年以内なら、建物の形や雨が当たりやすい取り合い。
築20年から40年なら、材料や納まりのばらつき。
築40年以上なら、現在の常識ではなく、当時の造り方そのもの。
年代によって、最初に疑う場所が変わります。
真HMSでは、外壁の色あせやひび割れだけで工事を決めません。
築年数、外壁材、屋根形状、雨水の入り方、過去の工事履歴を確認し、塗装、部分補修、内部確認、張り替え、経過観察のどれが適切なのかを整理します。
工事が必要な場合は、工事内容の提案、職人選定、施工管理、完了確認まで対応します。
外壁工事を決める前に、まずはその住宅の年代と造り方から確認してください。
外壁工事を決める前に、現在の状態を確認したい方へ
真HMSでは、築年数や外壁表面の見た目だけで工事を決めません。
屋根と外壁の取り合い、笠木、土台水切り、コーキング、過去の改修履歴などを確認し、塗装、部分補修、内部確認、張り替え、経過観察のどれが適切なのかを整理します。









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