© 2035 by The Clinic. Powered and secured by Wix

リフォーム・修繕工事
建築士の知識と、大工が知る現場の真実と技術。必要な工事を見極め、必要なら直す。
大府市の既存住宅状況調査事例|相続した空き家を活用するための住宅診断
■調査概要
・所在地:大府市
・築年数:約45年
・木造2階建て
・ご紹介:お付き合いのある不動産会社様
・ご依頼内:相続した空き家を活用するために住宅の状態を把握したい
■調査で確認した内容
構造耐力上主要な部分に係る調査部位
・基礎 土台及び床組 床 柱及び梁 外壁及び軒裏 内壁 天井 小屋組み
蟻害(腐朽・腐食調査) 配筋調査
雨水の浸入を防止する部分に係る調査部位
・外壁 軒裏 内壁 天井 小屋組み 屋根
■調査結果(概要)
-
基礎ひび割れ(軽微)
-
床傾斜6/1000以上
-
梁にひび割れ確認
-
雨漏り跡複数確認
-
谷板金に穴
-
洗面排水漏水
-
小屋裏雨漏り跡確認
■調査結果(総評)
今回の調査では、構造耐力上主要な部分、雨水の浸入を防止する部分、床の傾斜、小屋裏の状態、設備まわりなどを中心に確認しました。
【結論】
調査の結果、直ちに建物の使用を断念しなければならないような、
重大な構造上の不具合は確認されませんでした。
一方で、室内の天井および小屋裏の複数箇所に雨漏りの跡が確認され、
大屋根の谷板金には穴が開いている箇所も確認されました。
現在も雨水が浸入している可能性が高いため、まずは雨漏りの原因箇所を確認し、
雨水の浸入を止めることを優先する必要があります。
基礎には、換気口まわりを中心として複数のひび割れが確認されましたが、いずれも軽微なものであり、現時点で建物の構造へ重大な影響を及ぼす状態ではないと判断しました。
土台や床組には、著しい腐朽や蟻害などの劣化事象は確認されませんでした。
一方、床には6/1000以上の傾斜が確認された箇所があります。
ただし、柱や壁の著しい傾き、建具の大きな不具合などは確認されておらず、建物全体が経年によって大きく変形したというよりも、新築時または過去の施工精度、床組みの状態などが影響している可能性が考えられます。
小屋裏では、梁にひび割れが確認されました。
筋交いや接合金物なども確認でき、床の測定結果や目視可能な構造材の状態を総合的に確認した結果、現時点で建物全体の構造に重大な影響を及ぼしていると判断するような著しい不具合は確認されませんでした。
外壁および軒裏については、既存住宅状況調査における劣化事象等に該当する、下地材まで到達するひび割れや欠損、浮き、はらみ、剥落、複数の仕上げ材にまたがるひび割れ、金属部分の著しいさびなどは確認されませんでした。
一方で、室内の天井および小屋裏の複数箇所に雨漏りの跡が確認されました。
屋根の形状と雨漏り跡の位置関係から、雨水が浸入している可能性のある箇所を確認したところ、大屋根の谷板金に穴が開いている箇所が見つかりました。
雨水の浸入が続いた場合、天井や下地材だけでなく、小屋組みなどの構造材にも劣化が広がるおそれがあります。
また、洗面台の排水まわりから水漏れが確認されました。
このまま使用を続けた場合、床材や下地材へ影響が広がる可能性があるため、
補修または設備交換を検討する必要があります。
今回の調査では、築約45年という築年数相応の変化や維持管理上の注意点は確認されましたが、調査できた範囲において、建物全体の利用を直ちに断念しなければならないような重大な不具合は確認されませんでした。
調査結果をご説明したところ、依頼主様から雨漏り修繕についてもご相談いただき、原因箇所の確認と必要な修繕方法を検討することになりました。

築約45年の木造住宅を調査しました

基礎内部に鉄筋が配置されていることを確認しました。

建物全体の変形を疑う著しい傾きは確認されませんでした。

築約45年の木造住宅を調査しました
■真HMSの判断
今回の住宅は、築約45年の木造住宅です。
築年数だけを見ると、
「古いから、もう使えないのではないか」
「解体や大規模改修が必要なのではないか」
と考えてしまうことがあります。
しかし、住宅の状態は、築年数や見た目だけでは判断できません。
今回の調査では、床の傾斜や梁のひび割れなど、既存住宅として注意すべき点は確認されました。
一方で、基礎、土台、床組、小屋組みなどを総合的に確認した結果、建物全体の使用を直ちに断念するような状態ではないと判断しました。
この住宅で最も優先すべきことは、床の傾斜や築年数ではなく、現在も継続している可能性が高い雨漏りです。
床の傾斜や木材のひび割れは、確認されたからといって、必ずしもすぐに大規模な修繕が必要になるとは限りません。
一方、雨漏りは放置しても自然に改善することはありません。
雨水の浸入が続けば、現在は健全な状態を保っている木部や下地材にも、腐朽や劣化が広がる可能性があります。
そのため、今回の住宅については、まず雨漏りの原因箇所を是正し、建物内部への雨水の浸入を止めることが最優先です。
洗面台排水まわりの水漏れについても、被害が床材や下地材へ広がる前に、早めに対応することが望ましいと考えます。
一方、外装や設備については、すべてを直ちに交換するのではなく、建物の今後の活用方法や使用予定に合わせ、計画的に検討していくことが大切です。
住宅は、築45年だから解体する。
床が傾いているから大規模改修をする。
と、一つの症状だけで結論を出すものではありません。
大切なのは、調査によって確認された内容を、
今すぐ対応すべきこと
経過を確認していくこと
将来的に計画すること
に分けて整理することです。
今回の住宅については、雨漏りや設備の漏水など、優先すべき不具合を是正し、その後の維持管理を計画的に行うことができれば、今後も活用を検討できる余地がある建物だと判断しました。
相続した住宅や空き家については、修繕、活用、売却、解体など、さまざまな選択肢があります。
だからこそ、最初から工事や解体を決めるのではなく、まず現在の建物の状態を正しく確認し、その結果をもとに今後の方向性を整理することが重要です。
※今回の判断は当該建物の調査結果に基づくものであり、同様の症状が見られる全ての建物に当てはまるものではありません。
■真HMS独自の中長期維持管理票
既存住宅状況調査では、現在確認できる劣化事象や不具合を確認します。
しかし、調査結果だけでは、
「どこから直せばよいのか」「今すぐ対応が必要なのか」「将来の修繕として考えればよいのか」
が分かりにくいことがあります。
そこで真HMSでは、通常の調査報告書に加えて、調査結果を今後の維持管理へつなげるための独自の中長期維持管理票を作成しています。
確認された内容を以下のように分けて整理します。
・今すぐ対応を検討すること
・経過を確認していくこと
・中長期的に計画すること
今回の住宅では、短期的には、雨漏りと設備漏水への対応
中長期的には、外装および設備機器の維持管理という順序で整理しました。
この維持管理票は、単に不具合を並べるものではありません。
建物の状態と今後の活用方法を踏まえ、必要のない工事を急がず、
必要な工事を先送りしないための判断資料として作成しています。
真HMSでは、調査結果を報告して終わるのではなく、
その住宅と今後どのように付き合っていくかまで整理します。
▼関連ページ▼




