
建築士の知識と、大工が知る現場の真実と技術。必要な工事を見極め、必要なら直す。
【刈谷市】
直らない雨漏りと屋根・外壁の状態を調査|今後20年を見据えた住宅判断事例
■お客様のお悩み
雨漏りが続いており、本当に工事が必要なのか確認してほしいとのご相談をいただきました。この住宅では、約15年前に屋根や外壁の塗装工事が行 われていました。その後も雨漏りは改善せず、下屋根の修理パラペットに開いた穴への防水テープ施工防水テープの上からの塗装など、部分的な補修が繰り返されていました。しかし、雨漏りは完全には止まっていませんでした。お客様が希望されていたのは、単に目の前の雨漏りを止めることではありません。「あと20年はビクビクせずに、この家で安心して暮らしたい」そのご希望を踏まえ、雨漏り箇所だけではなく、屋根・外壁・笠木・軒天・雨樋を含めた建物全体の状態を確認しました。
■ 調査概要
所在地:刈谷市建物
:木造2階建て築年数
:約40年相談内容
:補修しても直らない雨漏りと、今後必要となる工事の確認
■ 調査で確認した内容
①大屋根と下屋根の状態
屋根全体へ上がり、屋根材の劣化状況、水が集まりやすい部分、板金の接合部などを確認しました。屋根には谷があり、雨水が集中しやすい形状になっています。赤丸部分では、板金接合部のシーリング切れカラーベストの割れ屋根材と板金の取り合い部分の劣化が確 認されました。これらの部分から雨水が侵入していた可能性があると判断しました。※写真の赤丸部分は、板金接合部とカラーベストの劣化が確認された箇所です。

②下屋パラペット笠木の出角部分
下屋パラペットの笠木を確認したところ、出角部分の両側に、本来あるべき角部分の納まりが確認できませんでした。
笠木の出角部分は、形状上どうしても継ぎ目ができる部分です。また、笠木の天端は水平に近いため、わずかな勾配の方向によっては、継ぎ目から浸入した雨水が室内側へ流れる可能性があります。
今回確認した出角部分はテープで処理されており、そのテープも著しく劣化していました。
この状態では雨水の浸入を防ぐ納まりとして十分とはいえず、今回の雨漏り原因の一つとして強く疑われる状態でした。


③軒天内部の下地状況
既設の軒天を確認したところ、場所によって施工方法が異なっていました。
一部では、軒天材を固定するための下地が設けられていない状態が確認されました。
また、大屋根側の軒天は一般的な木下地へ固定する方法ではなく、金具に挟み込む形で取り付けられていました。
この構造は、外から見ただけでは分かりにくく、既設材を外す際に無理な力を加えると、周辺まで傷める可能性があります。
今後、軒天を補修・交換する際には、既設の納まりを確認しながら慎重に撤去し、必要に応じて新たな下地を設けたうえで施工方法を検討する必要があります。

④軒天内部と雨樋の排水状況
軒天内部から雨樋の状態を確認し、ホースを使って散水を行いました。
散水によって、
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雨水が適切に流れるか
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雨樋内部で詰まりが起きていないか
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排水経路に問題がないか
を確認しました。
雨樋の中には、木の葉が泥状になって堆積していました。
現時点で大きな排水不良は確認されませんでしたが、堆積物が増えると雨水が流れにくくなり、雨樋からのあふれや建物側への雨水侵入につながる可能性があります。
定期的に雨樋を清掃することをお伝えしました。

■ 真HMSの判断
今回の雨漏りは、一か所だけを塞げば解決する状態ではないと判断しました。現地では、カラーベストの割れ板金接合部のシーリング切れ雨水が集まりやすい谷のある屋根形状下屋パラペット笠木の出角部分の納まり防水テープなどによる過去の補修跡軒天内部の下地・施工状況雨樋内部の堆積物など、複数の問題が確認されました。写真だけを見ると、「割れている部分だけ直せばよい」「笠木の角だけ塞げばよい」「もう一度塗装すればよい」と思われるかもしれません。しかし、雨漏りを判断するためには、
・雨水がどこから入るのか
・入った水がどちらへ流れるのか屋根や笠木の勾配がどちらを向いているのか
・水がどこへ排出されるのか
・過去の補修によって本来の水の流れが変わっていないか
まで考える必要があります。
今回特に重要だったのが、下屋パラペット笠木の出角部分です。
笠木の出角は形状上どうしても継ぎ目ができる部分で、天端も水平に近いため、わずかな勾配の方向によっては、継ぎ目から浸入した雨水が室内側へ流れる可能性があります。
さらに今回確認した出角部分にはテープによる処理があり、そのテープ自体も著しく劣化していました。
また、この住宅はすでにリフォームが行われていましたが、雨漏りそのものは解決しておらず、室内には雨漏りの影響と考えられる内装の傷みも確認されました。
内装をきれいにしても、雨水の浸入原因が残っていれば、再び傷みが発生する可能性があります。
今回の事例では、内装を直すことより先に、雨水の浸入経路と建物外部の雨仕舞を整理する必要がありました。
雨漏りは、怪しい場所をコーキングや防水テープで塞げば必ず解決するものではありません。
表面だけを塞ぐことで、本来流れていた雨水が別の場所へ回り込み、かえって原因を分かりにくくする場合もあります。
真HMSでは、屋根材の表面だけではなく、板金の重なり、谷部、笠木の取り合い、軒天内部、雨樋の排水まで確認しました。
そのうえで、部分的な補修を繰り返すのではなく、まず雨漏りの原因と雨水の流れを整理し、その結果をもとに必要な修繕範囲と順序を決めるべき建物だと判断しました。
今回の事例は、「リフォームしたから安心」ではなく、「何を直すべきかを判断してからリフォームすること」が重要だと分かる事例でもあります。
※今回の判断は当該建物の調査結果に基づくものであり、同様の症状が見られる全ての建物に当てはまるものではありません。
■ お客様へお伝えした内容
今回の住宅には、雨漏りを止めるための工事が必要であるとお伝えしました。ただし、雨漏りが疑われる部分だけを、その都度補修する方法では、お客様が希望されている「あと20年はビクビクせずに、この家で安心して暮らしたい」という状態をつくることは難しいと判断しました。
部分補修を繰り返した場合、一時的に雨漏りが止まったように見えても、別の場所から雨漏りが再発する足場や工事費が何度も必要になる屋根や外壁の内部で劣化が進む雨が降るたびに不安が残る可能性があります。
そのため今回は、目の前の雨漏りだけではなく、今後20年間の暮らしを基準に工事範囲を考える必要があるとお伝えしました。屋根については、部分的な補修ではなく、屋根全体の防水ラインを作り直し、再発リスクを下げる方法として、屋根カバー工法をご提案しました。
また、足場を設置するのであれば、屋根だけではなく、外壁・笠木・軒天など、今後同じ足場が必要となる部分も同時に整理する方が、将来的な負担を抑えられることもご説明しました。
これは、単に高額な工事を選んだということではありません。今後20年のトータルコスト・再発した場合の追加負担足場を何度も設置する費用雨漏りに対する精神的な不安建物内部の劣化が進むリスクまで含めて検討した結果です。
真HMSは、工事を減らすことだけを目的としているわけではありません。必要のない工事は分けますが、必要な工事については、その理由と範囲を整理した上でお伝えします。今回の住宅では、今後20年安心して暮らすために、屋根・外壁・笠木・軒天を含めた改修工事が必要であると判断しました。
■ 調査結果をもとに改修工事を行いました
今回の調査結果をもとに、屋根カバー工事外壁改修工事下屋パラペット笠木の改修軒天改修雨漏りリスクがある部分の納まり改善を行いました。調査時に確認した問題を、実際の工事でどのように改善したのかは、施工事例ページでご紹介します。
この調査結果をもとに実施した
施工事例はこちら▶ 刈谷市|雨漏り・屋根カバー・外壁改修工事の施工事例
■ 雨漏りは、漏れている場所だけを見ても判断できません
雨漏りのシミが出ている場所と、実際に雨水が侵入している場所が同じとは限りません。
屋根・外壁・板金・笠木・軒天・雨樋などを確認し、雨水がどのように建物内へ入り、どこを流れているのかを整理する必要があります。
真HMSでは、工事を始める前に建物の状態を確認し、
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本当に工事が必要なのか
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どこまで直す必要があるのか
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部分補修で対応できるのか
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今後の暮らしを考えると、どの工事が適しているのか
を整理します。
雨漏りが直らずにお困りの方、工事をするべきか迷っている方は、契約や工事を進める前にご相談ください。
その工事、本当に必要ですか?
リフォームの前に、まず建物の状態を正しく確認します。
同じような症状や、住まいのことで気になることはありませんか?
建物の状態は、一棟一棟異なります。写真だけでは判断できないこともありますので、
気になる症状や「これって大丈夫?」ということがありましたら、お気軽にご相談ください。

